楽曲解説:Spanish Rose

まずはじめに言っておきたいことは、
おそらく僕自身多分、
この「Spanish Rose」より
良い曲(僕の好みなのですが・・・)を
もう作れないのではないかと思っています。

それくらいに、僕の中では
この曲はパーフェクトなのです。
この曲を託してくれた
音楽の神様にはただただ感謝あるのみです。
僕はこの曲を歌うために生まれたと言っても良い。

この曲はアルバム「パレードがくるよ」に先駆けて
先行シングルとして発売した曲の
ボーカルを録り直したものです。
あと、エレキギター、アコギも新しく録音したものも
混ぜています。

ものすごく微妙にアレンジも違います。
これがシングル版とアルバム版の違いです。

先行シングル版の「Spanish Rose」と
あとに出てくる「逃げた太陽」どちらかを
先行で発売しようと考えており、
楽曲の仕上がり具合というか
雰囲気みたいなものを鑑みて
この曲を先行発売としました。

アルバム収録曲が決まり、
このアルバムの基軸であり、元となった
肝心の「パレードが来るよ」という曲がボツになり、
けれどもこの「パレードが来るよ」的な
どこか恨み節的な内容の歌詞があると、
ボツにしてもつぶしが利くのだけれどと
思っていた頃に、「Spanish Rose」の歌詞はできました。

経緯は半分笑い話みたいな感じなのですが、
何気なく買ってきた部屋の芳香剤「消○力」に
「スパニッシュローズの香り」と
書かれていたのが目に留まり、
そこからビビビッときて
2時間くらいで仕上げたのがこの曲の歌詞です。
もちろん、そこから譜割りや文字数だとかの
細かい微調整には時間を割いていますが。

まあ、昔のイギリスのバンド
The Jamにも「English Rose」という曲もあるし
良いんじゃない?くらいの気持ちで
「Spanish Rose」としました。

楽曲的にも歌詞の内容的にも、
アルバムのハイライトとなる曲だと
僕は考えています。
まさにここでパレードがきちゃってます。

もともとアルバムの軸として考えていた
「パレードが来るよ」という曲の
代役どころか、それ以上の働きをしてくれた
楽曲だと思います。

もう非の打ち所がない曲なだけに
ああだこうだと、あとから補足するような
解説ができません。
「Spanish Rose」は聴けば分かるとしか
言いようがないのです。

ちなみに、「Addiction」という曲にでてくる
「くちびる」はここでは「口許(くちもと)」と
表現されています。

Spanish Rose

花売りの季節 街は踊るパレード
捜してみせてよ はやく、はやく
宵に捨てられて泣かされたぶんだけは
取り返させてもらうからね

ずっと一緒だと気安く思ってた
奇麗に咲いたのは九月
見初められ買われて窓辺で笑ってた
それだけでいられた九月

ねだられるまま咲いてみせたのに

いつかは萎れると分かっていたけれど
怖くなったのも九月
あれほど囁いた言葉が減ってゆく
遠くなったのも九月

涸れた花瓶でまだ咲いているじゃない
ねえ、ほら振り向いてよ ごらん、奇麗でしょ
どうして何も云ってくれないの

色づいた舗道 冬になればまたどうせ
すぐに淋しくなるくせに いつも
花売りの季節 今度は何度めなの
近づける慣れた口許

花は見られて花だと呼べるもの
枯らして捨てたでしょ、なんて酷いひとだ
謝るより先に悔やんでよ

花売りの季節 自堕落が誘う街
見つけてほしいの はやく、はやく
気づいて貰えたその日だけは特別に
素敵に優しいけれど、そうね優しさが罠だった