僕がCDを作れない理由

僕の1stアルバムですが、
制作の行程を先週
To doリストにまとめまして、
リストアップされた行程は
最終的なアルバム販売に至るまで
19の行程が必要だと分かりました。
この行程には
1曲単位の作業を
一つの行程として計算せず、
例えばベースパートの録音であれば
1曲録音して、一つの作業が完了
というカウントの仕方ではなく、
アルバム収録曲全部、
ベースの録音が完了して
一つの行程を消化、
という数え方をしているので、
行程に於ける実際の作業量としては
19工程をはるかに上回る
作業が控えていると言うわけです。
かなり長い前置きになりましたが
さて今日のお話。
きたるべきアルバムの販売に際して、
僕のような超低所得者が
CDなどというものを生産するわけには
いかないのです。
CDを生産するには
基本、最低でも100枚は
プレスしなければならず、
アルバムとなると曲数が多い分、
歌詞カードのページ数も増え、
それが生産コストに
結構大きな割合で跳ね返ってきます。
具体的に僕が今回発表しようとしている
アルバムを最低プレス数でプレスしたとして
かかる費用は10万円を超えます。
それでCDを生産したとして
100枚CDを売り切れれば
別に10万円の投資をしても良いのですが、
実際、現実はそうではない。
現実は10枚売れれば御の字でしょう。
今の時代、そんなにほいほいと
しかも何処の馬の骨とも分からないような
ミュージシャンのCDを買う人なんて皆無です。
仮に確実に10枚売れると仮定して、
まあそりゃ1枚1万円という
価格を付ければ
投資額をペイ出来ます。
ただCD1枚、1万円なんて
明らかに現実的な価格ではないです。
どれだけ高くても
3千円が限度でしょう。
そう考えると
その売り上げではどう考えても
10万円の投資に対して
大きな赤字が出てしまいます。
しかも余った90枚もの
CDの在庫を抱えることになります。
プレス代10万円、
CD1枚、3千円として
計算上コストを回収するには、
30枚以上のCDを売る必要があります。
CDを市場に流通させる事は
プレスが出来てそのまま売れば済む
という簡単な話ではありません。
CDをいろいろなお店で売るために
必要なJANコードと呼ばれる、
いわゆる日本国内のあらゆるお店で買える
商品の通し番号のようなものを
取得する必要があるのです。
これを取得するにもまたお金が要るし、
煩雑な手続きも必要となってきます。
しかも3年ごとに更新して
その都度またお金が必要になってくるのです。
そんなCDの流通事情と
僕の現在置かれている状況を鑑みて
悲しいかな30枚も売れません。
とてもではないけれど
CDを作って
コストを回収するのは現状、無理です。
ただでさえ
CDという市場が
どんどん縮小して行っているというのに、
そこでCDを生産するというのは
デメリットしか無いのです。
そうなるとどうしても
iTunesなどで
アルバム、ないし楽曲を
データとして売るしか道は無くなってくるのです。
CDのプレスコストが
一切かからないというのは
非常に大きいです。
ただし、
ネットに繋がるパソコンのある環境や
iPhone、Androidのスマートフォンを
持っていてかつ、
自分の買った音楽を
パソコンやスマートフォンで管理していて、
音楽をデータとして買うことに
抵抗が無い人に限られてしまうのが
ネット配信の弱点でもあります。
CDじゃなければダメ
という人には作品が売れないのです。
僕の作品に触れるには
それ相応の環境が無いといけない
という状況が生まれるのです。
もうこれに関しては
僕個人の見解として
そういう人は
僕の音楽には縁の無い人と
もう割り切るしか無いと考えています。
現状、僕の置かれている状況や
今のCDという商材に対する
一般の人の扱いを考えると、
時代の流れとして
止むに止まれなくではありますが
切り捨てていかなければならない
ものでもあるのかなと
感じています。
実際、CDプレイヤーで
音楽を聞く人がどれだけ居ることか。
最近は
CDを買っても結局、
iPodやMP3プレイヤー、スマートフォンに
落として聴いている人の方が
多い気がします。
CDという「物」がそんな扱いなら、
別に音楽を
CDという入れ物に入れて
販売する必要も無いし、
それどころか「入れ物代」に
コストをかける必要が無ければ
その分、安く販売出来るわけです。
考えてみれば、もともと
音楽なんていうものは
形の無いものなのですよね。
形の無いものを今まで
ビニールやプラスティックの円盤、
磁気テープという
入れ物に入れて、
なぜだか本体である中身より
その入れ物を有り難がるという
錯覚にみんなが陥っていたのでしょう。
もちろん好きなアーティストの音楽は
CDで欲しい。
そうした真理は分かります。
僕だって今でもそう考えることは多いです。
でもそれって結局、
好きなアーティストの
「アイテム、グッズ」が欲しいというだけで、
好きなアーティストの
「音楽が聴きたい」と思う気持ちとは
どこか次元が別のところにあるように
思えるのです。
好きなアーティストの曲が
聴きたいと思った時、
別にCDにこだわりませんよね。
それは携帯電話でも良いし
音楽プレイヤーでも、パソコンでも、
カーステレオでも、
何でも良いから
何かしらで好きなアーティストの
音楽が聴ければそれで良いですよね。
絶対CDプレイヤーで
CD回してでしか聴きませんと、
実際にそういう環境しか
持っていないならまだしも、
他にその音楽を聴く手段があるというのに
CDプレイヤーのみを使って聴くことに
そこまでして
こだわっている人、
いるとしてもごく一部だと思います。
というかそんな人
実際に居るのでしょうか。
こうしたところに
音楽の本質とは
何かという答えが
あると思うのです。