寿命を逆算して音楽を作らなければならないお年頃

人の生涯というものには
当然、限りがあります。
人の肉体は有限のものなのです。

けれど、
僕自身の中へと降りてくる
インスピレーションというものは
無尽蔵に存在していて、
これらを全て
音として物理的に残すのは無理です。

永遠にこのインスピレーションを
物理的な存在へ変換していくためには、
この肉体もまた永遠である必要があるのです。
やはり、どう考えても無理な話です。

そうなってくると、
特にこの歳にもなると、
自分の作品を作るペースも合わせて考えて、
死ぬまでにあと何曲作ることができるのかと、
割と真剣に逆算して考えてしまうのです。

正月明け早々、辛気臭い話ではあるのですが、
実際、事実として、
僕が生涯に残すことのできる音楽の数というのも
アルバムにして考えれば
本当にあと何作かであるのは間違いないと思うのです。

ならば、生きているうちに
残しておきたいものという基準に照らして
自分の音楽にプライオリティを
どうしても付けざるを得なくなってくるのです。

これが歳をとるということなのでしょう。
時間は有限なのです。

つまり、
何でもかんでも思いつきで音楽を作るのではなく、
本当に必要、必然性のある音楽であることを
自分の中でふるいにかけて
選んでいかなければならない年代に入ったのだろうな、
ということです。

元日の僕のYouTubeの動画を観た人は
ご存知のことと思いますが、
現在、制作準備中のサードアルバムの前に
ベストアルバムを出すことになりました。

この決定も、
こうしたプライオリティの基準から評価して
導き出したものなのです。

ベストアルバムとサードアルバムの制作は、
ベストの方を優先しつつも
サードと並行して行うことになると思います。

おそらく、これからの数年は
僕にとって非常に重要で、
中身の濃い数年になると思います。

僕のいのちという燃料を使って
僕の音楽という火を焚く、
そういう数年になるだろうし、
きっと死ぬまでずっと
こういう作業を続けていくような気がします。