楽曲解説:Smile

この曲の間奏のフルートは
僕が吹いています。
はい、お聴きの通り下手くそです(笑)
なので打ち込みの
自動演奏に任せてしまおうかとも思ったのですが、
この不器用な調子外れ感の
侘しさが欲しかったというのもあって、
下手なりに(笑)頑張って練習して
録音しました。

さらにちなみに、
この間奏の1小節目をブレイクにして
フルートが入るというフレーズは
高校時代に作ったもので、
その後の長い僕の音楽人生の中で
出しどころがなくて、
およそ30年の時を経て
ようやく日の目を見たフレーズでもあります。

歌詞に関しては、
あえてその中に「小道具」を入れることを
意識しました。
例えば「便箋」だとか「手帳」だとか
「窓際」だとか「扉」だとか。

これまで僕が歌詞を書くにあたって
意識してこういう「小道具」を
使わないようにしていました。

例えば「電話」だとか「ラジオ」だとか
そういう類のものなのですが、
こういう言葉を出すと
その時代のリアリティは演出することはできるのですが、
時代が過ぎるとそういう言葉が古くなり
今度は陳腐になってしまい、
歌詞に寿命ができてしまうことを避けるためです。
今時、ポケベルどころか、
メールという言葉さえ古いですよね。
だから僕は使わないのです。

けれどそこをあえて「使えないだろうか」と
試みたのがこの曲の歌詞です。
おそらく長い目で見れば
この歌詞の寿命は短いのだろうと思います。

けれどそういう寿命を縮めかねない
「小道具」の中でも
極力、人にとって普遍性のあるものだけを
選んで歌詞にしたつもりです。

少なくとも100年後くらいまでは
通じるかな?と(笑)

逆に言えば、
僕の目から見てこれは長く残るだろう
というもの、
あるいは人にとって
いつまでも残っていて欲しいものの
名前、名詞を
挙げ連ねていると言ってもいいかもしれません。

これらが残らない世の中なんて
人の住む世界じゃない。
そんなの要らない。

Smile

その微笑み、もの知りげな微笑み
閉め忘れた扉の泣き声
同じように真似をした微笑み
開け忘れた便箋みたい

本当は何故だか心在らずの貴女が何処か気がかりさ

この微笑み、もの欲しげな微笑み
膨れてゆく白紙の手帳
さりげなく逸らした時の微笑み
痩せてゆくランプの灯みたい

本音は何時でも離したくない けれども崩れてしまうから
それでも知って欲しいと何度もベルを鳴らすのに

笑ってよ、笑ってよ 素直に笑ってよ
覗けば唄うオルゴールみたいに
笑ってよ、笑ってよ 心で笑ってよ
はじめてつける口紅みたいに

目が合う時なら信じていいよね

笑ってよ、笑ってよ 気のまま笑ってよ
小慣れたジャズのギブソンみたいに
笑ってよ、笑ってよ 飾らず笑ってよ
変哲もない窓際みたいに

目が合う時なら信じていいかな
見つめた時なら抱いてもいいよね

何故だか心在らずの貴女が何時も気がかりさ