僕は中森明菜さんを
昔、アイドルだった人という認識で
評価していません。
彼女は正真正銘のボーカリストだと思っています。
僕の中で彼女は、
日本でトップの女性ボーカリストという
認識です。
そしてこの曲、「難破船」
この曲の歌い手に彼女を選んだ事に
羨ましささえおぼえます。
この「難破船」は
加藤登紀子さんの作詞作曲なのですが、
曲はもとより、
とにかく詞が素晴らしい。
非常に文学性が高いと思うのです。
「難破船」の楽曲に充てがう歌詞は
この詞がもっともフィットするし、
「難破船」の歌詞を乗せる楽曲は
この楽曲以外に考えられない。
歌詞と楽曲が完全に一体となっていて
切っても切り離せない一体感を生んでいると思います。
この歌を手がけた
東大卒の頭脳を持つ
加藤登紀子さんだからこそ
作れたものなのかも知れませんね。
かと言ってしかし、
この「難破船」は
加藤登紀子さんが唄っても
あまり心にこないんですよね。
中森明菜さんの持つ
歌の表現力がないと
この「難破船」という歌は
唄いこなせないのだと思います。
中森明菜さんだからこそ唄える曲、
それが
「難破船」なのだと思います。
ちなみに、この曲のラスト、コーダ部分の
ストリングス（弦楽四重奏）で奏でられる
泣き疲れた後、力尽き
それでもまだかすかに押し寄せる
慟哭と嗚咽の波の様な
ヴィオラのメロディは
生々しくも悲しく、リアルです。
とにかく、歌、作詞作曲、アレンジ
全てが完璧なんですよね。
この曲。
