エルバンのインクあれこれ

「エルバン」というのは
フランスのインクメーカーです。
創業が西暦1670年。
インクの生産が西暦1700年という、
300年以上も続く老舗メーカーです。
その昔、ローマ皇帝への献上品となったこともある
由緒のあるインクなのだそうです。
言っとくけど、フランス革命より前なんだぜ。

はじめは、赤と青(ブルーブラック系)だけあれば良いや
と思っていたのですが、
気づいたら「お試し版」の小瓶ではありますが
こんなに増えとった・・・(笑)

エルバンのインクの良さは
その滲み具合と、濃淡のボケみにあると
僕は思っています。

フランス製ということで、
まあおそらく、太字のペンで
アルファベットを書くと魅力が発揮されるように
調整されているとは思うのです。
それゆえに、何かと細かくなりがちな
漢字を含む日本の文字だと
上述のようにボケたり滲んだりするのですが、
その感じがどこかノスタルチックで、ロマンチック、
そして物憂げな「味」のある文字になるのです。
適当に書いただけで色っぽく見えるという。

確かに、このインクで太字のペンで
字画の多い漢字を書くと思いっきり潰れてしまいますが、
それも味でしょ。
はっきりとした線で日本語を書きたいのなら
日本のメーカーのインクで書くのが
やはりベストだとは思います。
僕も実際、シチュエーションに合わせてそうしています。

ただ、先ほどから言っているように
このインクのちょっぴりボケた感じが
僕が自分の楽曲の歌詞を書くときに
視覚的に非常に優しいのです。
浮かんで書き連ねた言葉を
程よくあやふやにさせてくれることで、
いろいろな表現の可能性を
インスパイアさせてくれるのです。
今回のアルバムの歌詞を書くときには
そりゃもう、『ナイトブルー』が火を吹きましたわ!

そして今も、レコーディングの前段階の
確認の作業をしているのですが、
いろいろメモを取ったり、印をつけたりと
マーカーペンとしていろいろな色のインクを
多用している次第です。
あとまだ、2〜3色は欲しい・・・。

ちなみにここにある
『インク戦隊エルバン』の面々。

「使い出」度外視で単純に「好きな色」を挙げるなら
1位:ナイトブルー(定番中の定番)
2位:カランクブルー(とにかく鮮やか!)
3位:イナゴマメレッド(目に痛くない赤)

あとベスト3入りはなりませんでしたが、
ココアブラウンは茶色系のグレーで、
細いペン先(万年筆だったらEFとかの)で
文章を書くと、非常にしっとりと落ち着いた色になります。
どこか和風な色合いかも。

黒もあるけど、普通に黒なので
今、万年筆に入っていません。
ペンの黒インクというより、
質感は墨汁に近いと思います。

エルバン インク