ふっかつのじゅもん

さて、そういうわけで
一命を取り留めた僕ですが、
はじめに明言しておきます。
あらかじめ言っておきますが、
僕は三途の川系のものは一切見ていません。
鎮静剤で気は失っていましたが、
その間、三途の川だの神様だの、お花畑だの、
そうしたものは一切見ませんでした。
しかし
集中治療室で
2日目か3日目くらいからだったでしょうか。
鎮静剤を入れなくなった事もあるのでしょうが、
意識がはっきりしてきてました。
普通に人と会話出来るようになりました。
でも、何かがおかしいのです・・・。
これは確か危篤状態になって
親兄弟が駆けつけてきて
声をかけられた時からだったように記憶しています。
目を開けると
そう、水中でタコやイカが墨を吐くと
それがもくもくと黒い煙のように
広がりますよね。
ああいう、何かこうどす黒い
煙が僕の視界のあちこちで
現れては消えていくのです。
それは幻覚とかそういうレベルではなく、
本当にそこにありました。
まあ、そういうのを幻覚というのでしょうが・・・。
そして目を瞑ると
キラキラと、虹色と言えば良いのでしょうか、
そういう色で眩しいくらいの輝きを放つ、
これもどう表現したら良いのでしょう?
いわゆる梵字的なものや
不吉な呪術的なものを想起させるような、
記号と言うか文字と言うか、
そういったものが時折、
いや頻繁にだったかもしれません。
ひとつ(一文字)、またひとつ
ふわっと現れるのです。
そしてこれが一番不思議だった事なのですが、
そのとき僕は
二つの現実に存在していたのです。
別に奇異な世界にいたというわけではありません。
普通の日常の現実が二つ
重なったところにいたのです。
テレビが二重に映っているような光景でした。
片方の現実では近くに誰もいないのですが、
もう片方の現実では看護師さんが通りかかる。
看護師さんが通りかかった現実では聞こえない
話し声だったり、その他の環境音、
そうしたものが、もう片方の現実では聞こえる。
そういう世界を体験したのです。
徐々に回復するにつれ、
どちらかの現実に収まった
とでも言えば良いのでしょうか。
いや、正確に思い出してみると、
生まれて物心がついてからずっと
体験してきた現実の道筋から、
別の新しい現実の道筋に乗り換えて
僕が危篤に陥る前の人生が分離して離れていった、
そういう感覚が一番的を射ているかもしれません。
その時から、
それは目に見えて何かが違うというわけではないのですが、
明らかに僕を取り巻く世界が刷新されたという感覚が
確かにあります。
そう、なんというか
古い方は重くて、新しい方は軽い。
何が重くて、何が軽いのかと問われても
それが何かと答える事は出来ないのですが、
とにかく今いるこの新しい現実は
かつていた古い現実より軽く、澄んでいる。
それが印象。
見た目は同じ世界ですが、
その世界の質感が
古い方は泥沼のようで、
新しい方は清水のような・・・、
そう感じます。
僕が金魚だとして、
汚れた水の金魚鉢から
新しい水の金魚鉢に移し替えられたような。
僕はこうした体験に説明を付ける事は
しないでおこうと決めています。
説明を付けようとすると
きっと変な世界に行ってしまうから(笑)
体験した確実な事実がある。
それだけで、あとは今まで通り
同じように生きていけば良いだけのように思っています。
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