CDの商品価値にパラダイムシフトが起きている

HMVが経営破綻したと言うニュースを
先日目にしました。
数年前、タワーレコードも
実在する店舗が無くなりました。
え?タワーレコードって日本にあるじゃない?
と思われる方もいるかもしれませんが、
あれは店舗名が事実上残っているだけで、
元々の経営母体となる
タワーレコードの会社の手から離れています。
HMVは今後どのような道を行くのかは
分かりませんが、
タワーレコード(アメリカ)のように
本国(イギリス)で細々と
ネット販売(通販)していくのかもしれません。
タワーレコードとHMVが
このような状況に陥ったのは
非常に象徴的であるし、
これこそが時代の流れに淘汰されるべくして
淘汰された結果となったという
印象を禁じ得ません。
(タワーレコードの破綻は時代だからどうというのではなく、
単純に会社経営の失敗だと言われていますが)
音楽のダウンロード販売が
ここ数年で一気に急激に売り上げを上げ、
CDの販売が年々、右肩下がりに
縮小していく状況は、
CD(あるいはDVDですら)という
記録媒体は他の媒体に取って代わられて、
用済みになってしまったと言っても良いと思います。
しかし、僕が見たニュース記事でも言及されていましたが、
ダウンロードで買う音楽には
「CD」という現物の持つ「ロマン」が欠けている
というのも、全くその通りであろうと思います。
以前にも僕自身が言及した事ではありますが、
CDというものはもう、
アーティストの
マーチャンタイズ(グッズ)としての
価値はありますが、
創作した作品を伝える媒体、道具として、
必ずしもそれ(CD)でなければいけない
という時代は完全に終ったと感じています。
どのみち多くの人は
CDを買ってもiPodやスマホとかに入れて
それを聴くわけですから。
そこまでしない人はそもそも
CDを買わないし、音楽も大して聴きません。
聴きたいCDをわざわざ棚から
1枚取り出して、CDのトレイに入れて
再生ボタンを押して・・・、
こという半ば本能的に行なってきたこの動作も、
きっと現在では
手持ちのCDコレクションは
せいぜい10枚程度のライトなユーザー層が
「たまに聴きたい時」に行なうくらい
なのではないかと思うのです。
コレクション総数、
数百枚、数千枚レベルのヘビーユーザーはもちろん、
何かしら音楽が流れていて欲しい中毒化(笑)したユーザーも、
「わりと結構、音楽を聴く」くらいの
ミドルユーザーも今は、
日常的にステレオコンポの前に鎮座して
粛々とお気に入りのCDをCDプレイヤーで聴く
という事は滅多にしない気がします。
それなりのオーディオシステムで
聴いているかも怪しいです。
少なくとも僕の周りでは。
CDをCDプレイヤーに入れて
ステレオコンポで聴くという労力を
苦にしない人は、
パソコンに音楽を入れて管理し、
携帯音楽プレーヤーで持ち出してまで聴きますし、
CDの再生ボタンを押す事すら
煩雑と感じる人は、
そもそも音楽を聴きません。
音楽を聴く人と聴かない人の二極化が
進んでいるように感じます。
そして音楽を聴く人は
音楽が聴ければそれで良いと思っています。
音質がどうこうとかは二の次なんです。
音楽を聴きたい人は
「自分にとって」良い音楽を聴きたいのです。
CDなどは先にも触れた通り、
ひとつのアーティストグッズとしての
商品価値を見いだして
買っているのだと思います。
それこそ
いささか乱暴に極論で言ってしまえば、
何かしらの手段でその音楽を聴けて、
なおかつ所有する事が出来れば、
CDの中身は空っぽで、
例えば
音源のダウンロード先とパスワードだけ記しておいて、
音はそちらで入手し、
物として購入するのは
大好きなアーティストの写真が印刷された
歌詞カードとケースだけのパッケージであっても
売れるわけですよ。
今、塩ビのレコード盤からCDに
置き換わった時以上の
大転換期に来ているので、
この先どうやって音楽、いや
映像だってそうです。
そうしたコンテンツをいかに流布させつつ、
収益を得るかという決定的な方法論が
まだ完全に確定していないのが現状でしょう。
そこに違法コピーの問題も絡んでくるし、
特に日本はいろいろな利権が
市場に割り込んで
重要な移行期の代謝を阻んでいたりもします。
物としての「ロマン」が無くなってしまう
という危惧は杞憂でしょう。
音楽は作品として別のところに置いておいて、
マーチャンタイズとして
新しい「ロマン」を演出すれば良いだけの事なのですから。
何にしろ今、
音楽の買い方、売り方が変わり、
生産者も消費者もそうした環境に
適応せざるを得ない状況になっているように感じます。
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