人を救いたい想いを断つべきその意義

以前にも似たような話を
した事がありますが、
やはりどうも
チャリティというもの、
それ自体は善意である事には
変わりはないのですが、
これにエンターテイメント性が
加わったり、
劇場型のチャリティになってしまうのは
はやり、いささか
不健全だと思うのです。
チャリティをエンターテイメントに
するコストを
チャリティに割り当てれば、
それが本当は一番効率がいいのですし、
チャリティイベントひとつを
行なうというのなら、
ディレクションする主催者から
実働する末端の労力、
すべてが無償で行なわれなければ
そのチャリティは嘘になってしまう。
そこで言わば
サルトル流に言うなれば
アンガージュマン的な、
つまり
自身の意志に対し
社会とどのような関係を結ぶのか、
という事の意味を
少し考えてみたいと思います。
少し前に
被害者と加害者という関係は、
相対的な構造によって存在する
というような内容の話をしましたが、
これはチャリティにも当てはまると思うのです。
よく聞く話で
「医者がいる限り病気は無くならない」
というものがあるのですが、
これも同じ構造ですよね。
治したい人がいるから
治されなければならない人が
この世からいなくならない。
この世から
救われるべき人たちがいなくなる事が
理想であり、目標であるのはいいのですが、
救いたいという気持ちが
救われなければならない身の上の人を
構造として作ってしまっているのですよね。
人は
ひとつの集団との人間関係に於ける
その関係性において、
必ず何かしらの役割を
自然に演じていたり、
課せられていたりするものです。
とある集団の中に於いて
その人は
キングやクイーンかもしれない。
ナイトであるかもしれない。
クラウンや、ヒーラーかもしれない。
ともすれば物乞いかもしれない。
そして以前の話にも出て来たように、
被害者や加害者である事もあるのです。
人は集団の中で
そうした何かしらの役割を
演じることで、
それが事象となり
社会を形成し、
世界を形作っていくものなのです。
世界の全体像として
この世を見たとき、
そこに困った人がいる世界は
やはり問題のある世界です。
そして出来る事なら
困った人がいない世の中に
なればいい筈なのですが、
「助ける人」という役割を
買って出る人がいる限り
「助けられる人」という役割を
演じなければならない人が出てくるのです。
人は何故助けたいのでしょう。
何故ならその人の意識の中に
「助けなければならない」人が存在するから。
そう考えていくと
どうもこの世というものは、
「助けるべき人」という存在が
消える事はないのかもしれません。
それが真理なら、
それはそれで是認せねばならない。
もちろん
人助けは人の美徳として
意識すべきでしょう。
ただしかしその善意、
本当に善意でしょうか。
そこを自問して欲しいものです。
自分より不幸な人を見て
安心するような精神性は、
それ正に地に堕ちた心と言わざるを得ません。
募金するのもいいでしょう。
しかしその募金箱に入れたお金、
あたかも
物乞いにパンを恵んでやるような
意識で投じてはいませんでしょうか。
不幸な人を助ける事を
お祭りやイベントにしてはいけないし、
そうしたきっかけに尻を叩かれないと
チャリティが出来ないような
心もまた寒いです。
真の美徳とは
誰に知られるともなくひっそりと
積むのが最善だと思うのです。
しかし、アピールしなければ
助けられるものも助けられない
事情もあるでしょうから
一概には言えないのですが、
やはりチャリティというものは
個人的に粛々とするものであって、
チャリティに興味のない人まで
巻き込んで
「みんなで救おう!」
という質のものではない気がします。
本当は、理想だけを述べるなら
救いの必要な人など
どこにもいない世界こそが、
真の平和な世界なのではないでしょうか。
そんな世界に現実を近づけるためには、
「人を救うという行為」を捨てなければならない。
救いたいと思っても
救ってはいけない。
ただ、例えば
救いたいと思う人自身が、
自身の力でその問題を解決出来る事を
考えてあげるのはどうでしょう。
そう導く事は
弱者を作らないし、
依存も生まれないと思うのです。
とは言えこの構造は、
ひとつの答えとして
概念を規定出来るほど
易しい問題ではないのも事実です。
「人を助けます」と
「さあ、人を助けます」の
ニュアンスの違いが
読み取れるかどうか。
どちらが無駄な「弱者」を作らない
姿勢であるかを
考え直してみなければならない
事でもあるのです。
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