科学は魔の道

先日、
「重力波を観測したぞ!」
というニュースがありました。

僕とか、SFものの小説や映画が
大好物な人間からすると、
フィクションがノンフィクションになったのですから、
「ぅおぉ!」と唸りたくもなります。

しかしただ、一つ気がかりなことがあるのです。

こういう人類にとっての
大発見というものは、
確かに人類史上の偉業であるし
功績であることには間違いありません。

研究の最前線では、
日本のような腐りきった構造が
まかり通っていなければ、
きっと真実を解き明かそうという
純粋な思いでそれがなされているだろうと思います。

けれどやがて、
それを利用して
私腹を肥やそうと考えるような
ゲスな野郎がきっと出てくると思うのです。

それこそ「重力波の観測」などは
今はまだ、普通の人の実生活において
それ自体で何かが変わるということはないし、
また便利になるわけでもないので、
ゲスなエゴという下等な感覚には
引っかかってこないのでしょうが、
これが例えば「重力波」の存在を
実用の何かしらに利用できると分かった時、
そこで必ず資本の力が介入してくるでしょう。

結局、人というのは楽な方へ流れていく
生き物(人だけではないのだけれど)ですから、
偉大な科学の発見も
結果的には
人を堕落させるものの
基礎技術が発見されたことと
等価なものとなってしまうのです。
技術が進歩して、
人もそれに比例して
進歩したでしょうか。

逆に反比例で
退化していることに気づいているでしょうか。

科学技術は
それを扱う人の心次第で
薬にも毒にもなる、というのは
今ではありふれた
人の哲学の部分の問いではありますが、
もうそのような問いに関しては
答えは出ていると思います。

人は、
無尽蔵に遍在する自然の力を
『毒にしか使えない』と。

そして、
このような事柄を
膝の上のノートパソコンで書いて、
ネット上のサーバに
アップロードする僕もまた、
毒された共犯者なのだと思います。
さらには、
縁あってこの記事を読んでいる人もまた
似たような機械を使って
読んでいるのだろうから、
やはり、これを読む人もまた
「叡智を毒にしか使えない」
僕と同罪の業を持っているのだと思うのです。