臨界

そこは臨界状態でした。
完全なる飽和状態でした。
ありとあらゆるものが
ぎっしりと詰まっているので、
その中身は動く事が出来ませんでした。
そのあらゆるものが
動けるようになるために、
それは
詰まっているすべての中から
ひとつだけ、
完全に何も無い別の世界に移すために
穴を開けました。
すると、それまで
ぎっしり詰まり過ぎて動けなかった
ものたちが
その穴を通って一気に流れ出し、
あっという間に
すべてがあった世界と
すべてが無い世界という
二つの世界に
まんべんなく広がりました。
ものと、ものの間に隙間が出来る事で
ものは自由に動けるようになったし、
それまで別のものに押さえつけられて
形作る事が叶わなかった、
そのものの本来の形も
取り戻す事が出来ました。
まんべんなく広がる事で隙間を作り、
本来の形を得たものたちは、
どんどん成長して大きく
膨らんでいきます。
どんどん膨らんでいき
やがて動けるだけの隙間が
狭くなっていき、
やがてまた動けなくなっていきます。
動けなくなる。
どんどん動けなくなる。
果てしなくまんべんなく
そのあらゆるものが広がり、
あらゆるものが成長し膨らんで
隙間が無くなってくると、
そこはまた元の
完全なる飽和状態の世界と
同じ姿になります。
そして時が満ち、
臨界の日が来ます。
なのでまた再び、
そこに穴を開け
すべての中からひとつを
別の完全に何も無い場所に取り出して、
動けるようにしました。
そしてまた、元の場所と
何も無い場所の二つの場所に
あらゆるものは
まんべんなく広がりはじめます。
後にも先にも、
延々とこれを繰り返しています。
この働きが終る事はありません。
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