自分の音楽は自分で売るという至極真っ当な徒労

気づけば、
僕が若かりし頃に憧れた
メジャーのレコード会社というもの自体が
実に逼塞して、
こんなものの為に僕は
青春を費やしていたのかと、
どこか脱力感さえ感じたりもするのです。

だってメジャーの表に出てくる人たちというのは
よっぽどお金を生む人は別としても、
結局まずは、所属事務所のゴリ押しだけが
ものを言う世界で、
そこでゴリ押しされるものというのがまた
学芸会や文化祭レベルのものばかりだし、
それ以外は「昔売れた人」いわゆる
「懐メロホルダー」、
つまり過去の威光で食いつないでいる人、
それだけしかいない世界なのです。

まあこれは今に限ったことではなく、
結局、日本の芸能界という世界自体が
もともとこういう組織構造で
お金が回っている世界だったのであって、
かつて1980年代から90年代初頭くらいまでの
インディーズブーム(バンドブーム)というのは、
ある意味特殊な状況だったのかもしれないと
今になって思えるのです。

ちなみに話は逸れますが、
2000年代にちょっとした
インディーズブーム的なものが起こりましたが、
あれは90年代頃までのムーブメントに目をつけた
大きいところが意図的に
そういう演出をしていただけで
実体のあるブームではなかったと
僕は考えています。

ともかく話を戻すに、
真摯に音楽で生きていこうとするならば、
大きい会社に所属して売ってもらろうと考えると
世が世なだけに、ちょっと厳しいでしょう。

自分の作った音楽はやはり
自分で売るのが一番、
利率が高いのです。
その分、労力としての効率は下がるかもしれませんが、
それでも自分で売るのが
もっともシンプルで分かりやすいのです。
せいぜい、「委託」という形をとって
販売チャンネルを増やすとか。

まあ、だからといって
それでほいほい稼げるほど楽ではないのも
現実なのですが。
音楽なんて、本当にそうそう買ってくれませんから。

この辺りは、メジャーで活動することを
就職先と考えると痛い目にあうみたいな内容の
記事として書いたので、
それと重複する部分のあるのですが、
特に音楽のような目に見えない
「体験」だけのもので利益を得ようとする行為を
組織的に運用するということは、
その規模が大きくなるほどに胡散臭くなってくるもの。

もっと言えば、
ミュージシャンというものは
真っ当な音楽をやっている時点で
すでにブランドなわけですから、
わざわざ組織の中で活動する理由なんて
そもそもないのだと思います。

特に日本の風土は
何かしらの組織に属していないと
独り立ちした人にあらずという
雰囲気があるので、
こういう活動法には風当たりが強いでしょうが、
「それのどこが悪い」と
はねつけられるメンタルがないと、
歳をとっても音楽は続けられないと思います。