1995年3月21日

1995年。
18年前です。
この年は
いろいろな事がありました。
それは個人的なことだったり、
社会でも不穏さに満ちていました。
その年は阪神淡路大震災で大勢の人が死に、
そして「地下鉄サリン事件」で
世の人が震撼した年です。
僕の人生に於いても
この年は非常に大きな人生の節目でした。
当時僕はバンドをやっていたのですが、
原因不明の腹痛、しかも激痛を抱えて
レコーディングをしたり
ツアーに廻ったりしていました。
がりがりに痩せ細り、
とうとう歩く事すらままならなくなり
控えていたライブの予定をリタイアして
ついに入院してしまいました。
その入院が決まったのが
18年前(2013年現在)の今日、
3月21日でした。
お腹の激痛と、体力の消耗で
ろくに歩くことも出来なくなって
病院まで、今は亡き父に車で送ってもらい、
その車の中のラジオで
「地下鉄サリン事件」が起きて
大変な事になっていることを知りました。
連日、この事件の報道がされる中、
僕も大変でした。
当時通っていた病院では、その時
ベッドが空いていなかったことから、
別の病院に移されて、
そこで精密な検査をすることになりました。
その結果、
原因が分からず治療法が確立していない病気、
要するに国の難病指定(特定疾患)になっている
クローン病であると告げられました。
運が悪いことに
この時、僕の身体を検査して
病気を特定した医者が非常に態度の悪い医者で、
クローン病であると告げるついでに
半分嘲り笑いながら、
「はあ?音楽?あんた、一生食事出来ないんだよ、
そんなもの出来るわけ無いでしょ?」
と言われたのははっきり覚えています。
はっきり言って、
一生食事が出来ないと言ってしまう
この医者は無知です。
あんな奴は医者でも何でもなかった。
実際は食事制限が厳しいというのが正確なところで、
ましてそうした病気を持ちながら、
またその病気で弱っているところで
「音楽なんてやめてしまえ」と
人の人生に干渉してくるなど、
医者の風上にも置けない奴でした。
まあ、何にしてもその時は
そのクソ医者のおかげで
「ああ、精力的な音楽活動はもう出来ないんだ」
と心に刷り込まれてしまい、
実際にその何年も
それが足かせになっていました。
ミュージシャンが病気を患って
かっこ悪いという意識もあったので、当時
病気のことは人には誰も言いませんでした。
健康な人を装いつつも、
「無理は出来ない」という
思い込みはついてまわり、
周りの友人たちが
普通に健康に社会の中に収まっていく姿を
ただ横目で見るだけで、
自分には何も出来ないと感じ挫折を味わい、
引き蘢ったこともありました。
当時の友達も恋人もすべて失いました。
もっとも閉じこもっていた頃、
2001年、アメリカで
同時多発テロが起こりました。
また、たくさんの人が死にました。
それを見た僕は、その当時なりに
何か思うところがあったのだと思います。
唄おうと思ったのです。
止めていた音楽を再びはじめるようになりました。
今思えばこれも必然だったと思うのです。
僕のような気質の人間は
バンドの様なチームプレイは不向きだし、
また1995年までバンドで
ギターを弾いている自分にも限界を感じていました。
僕はギタリストじゃないなと
バンドが解散する少し前から思っていて、
その違和感を解消する答えが
歌を唄うことだったのです。
そこから「Lalah Luminoux」としての
音楽活動が始まるのですが、
ボーカリストとしてのキャリアを
1から積み上げていかなくてはならなかったので、
決してスムーズにはいきませんでした。
もしかすると今でも滞っているかもしれません。
頑張り過ぎてメンタルは病んでしまうし、
お腹の手術ももう3回もしてしまいました。
加えて去年は危うく死にかけました。
まあ、この辺りの時期は
このブログでリアルタイムに書いているので
そういう事です。
過去ログを漁れば僕がどんな人生を歩んできたか
分かります。
結果として振り返ると
相当にでこぼこな人生を歩んでいますが、
今になって思うのです。
1995年にバンドをやめて、
その後またすんなりと
普通に健康に音楽活動を継続していたのでは、
結果として僕が
プロになっていようが、
なっていなかろうが、
人間としての深みを身につける事は
出来なかっただろうと。
18年前の僕は
結構、最低な人間だったと
認めざるを得ないですし、
それ故に
人として最も尊く大切な事は何なのかを
深く考察する事も無かったでしょう。
暗く、深いところまで潜って
手に入れたこの美しいものを、
人に知って欲しい。
最近、ようやく
どん底を折り返して
水面となるゼロ地点の近く、
人にも水面下にその姿が見えるくらいの
近くまで戻ってきたような気がします。
水面から浮上する時はいつなのかは分かりませんが、
人生の最も暗く深い底の場所で
見つけてきた物があるからこそ、
今の僕は
何も怖くないし、何も恥じる事も無い。
もしかすると、普通の人なら
一生に一度も経験しないような事を
18年かけてたくさん経験してきたから、
どんな事も真実として言える。
そこまでに僕の精神は
錬磨され、果てのない広がりと
高みを持っている。
どん底で拾ってきた美しい物。
それはなんの事は無い。
決して高尚なものではありませんでした。
拾ってきたこの世で最も尊い物とは、
『それ以上でも以下でもない、本当の自分自身』
でした。
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