Jade Anderson – Dive Deeper

$鮎沢郁弥のLes Fragments d'ete(あゆさわいくやの夏のカケラ)
Jade Anderson(ジェイド・アンダーソン)は
70年代に活躍したプログレバンド
「Yes」の元ボーカル(といってもほとんどこの人ですが)
ジョン・アンダーソンの娘にあたる人で、
このアルバムを2002年に発表しました。
元がサラブレットですし、
デビューの際は高名なプロデューサーを
立てて楽曲制作をという話もあったそうですが、
親の七光りをきらって
あえて
デビュー前から彼女が信頼をおいていた
無名のプロデューサーとの共作という形で
この作品が生まれました。
カテゴリーで分けるなら
まあ、当時のアイドルが唄うクラブミュージック
というところに分類されるのかもしれませんが、
そのようなアイドルダンスミュージックシンガーを
好むようなリスナーには、
このアルバムは少しばかりクレバーだったのでしょう。
多分、この音源が流通したのは
本国イギリスと日本くらいだと思います。
日本でもメディアに多々紹介されていましたが、
結局鳴かず飛ばずのまま
セカンドアルバムも出る事無く
消えてしまいました。
今ではこのCD、中古以外では手に入れる事は
出来ないと思います。
先にも触れたように、
このアルバムはアイドルが唄う
ダンスミュージックには無い
芸術性、音楽性の高さが前面に出ています。
その場限りで聴いて忘れ去られるような
アイドルミュージックとは一線を画す内容です。
故に10年経った今でも
全く古臭さを感じさせずに
エバーグリーンとしてこの作品を聴けます。
物憂げなメロディとリズムが
捨て曲無しに作品全体を被って、
最初から最後まで
一気に聴かせてくれる素晴らしいアルバムで、
音楽に圧倒的なファンタジーを感じたのは
後にも先にも、ケイト・ブッシュと
このジェイド・アンダーソンだけです。
僕的には。
詞とメロディを創っているのは
ジェイド・アンダーソン本人と思われます。
非常に高いインテリジェンスを感じます。
ふと検索して調べてみると、
一応現在も音楽は続けているようなのですが、
現在は「プロ」としては活動していないよう。
まあ、親も金持ちですし
自分自身も食うに困らないだけの
印税も手にしている事もあるのかもしれません。
でも、My Spaceに
このアルバム「Dive Deeper」意外の楽曲を
幾つか上げていました。
もちろん、アマチュアミュージシャンとして。
基本的にピアノの弾き語りの
デモ音源というクオリティなのですが、
そのメロディセンスは健在どころか
磨きがかかっているかも?と思わされました。
彼女の紡ぐメロディは
優しいけど哀しい。
そこが良い。
こういう人が世に出てこないのは
はっきりいって音楽界の
大きな損失だと思うのですよね。
何故みんな、ジェイド・アンダーソンの事を
知らないのか??
いや、僕が知っていればそれで良い。
そして、この人の素晴らしい音楽を
もっと聴きたい・・・。
この曲を初めて聴いた時、
涙腺が緩むような感動を憶えました。