音を「吹き込む」

昨日もお話ししたように
今、録音したギターのトラックの
編集をしています。
そしてこれもお話ししましたが、
あまりガチガチにジャストなタイミングに
なるような編集を通り越した
「修正」までは、ほとんどしていません。
その時の演奏の持つ旨味を
残すためです。
ジャストなタイミングに
一音一音を合わせる事、
つまり音符通りのタイミングに合わせる事は
編集の技術的に可能ではありますが、
これをしてしまうと
逆に演奏が
不自然になってしまう事の方が多いです。
聴いて気持ち良く
ギターリフが乗ってるなと感じるテイクを、
画面上で確認すると
これがまた結構、
音符のジャストのタイミング
いわゆるグリッド(基準線)に対して
バラバラなタイミングで
演奏されていたりするのです。
ただもちろんこれは、
ギターだから許せるタイミングであって、
ベースや、まして
ドラムとなると話は別で、
出来るだけグリッドに合わせた方が良いと思うし、
そこを目指して演奏もします。
リズムというものは
楽曲の骨格みたいなものですから、
ここは出来る限り正確な方が良いです。
しかしそれでも、
いかにもコンピュータに演奏させるような
グリッドに全くジャストにしてしまうと、
グルーブが薄っぺらくなってしまうのです。
僕の場合、ドラムは打込みですが、
打ち込んだものも
必ず絶対に、タイミングを分散させますし、
実際に人間の手で叩いた時の
リズムやテンポの揺れも
しっかり計算して再現しています。
単純に譜面通りの演奏をさせるだけなら、
コンピュータで打ち込んで
自動演奏させたものに
人間は敵いません。
リズムやテンポ、グルーブに
ムラがあるのが
人の演奏です。
そのムラが音楽の心地良さを生むのです。
そうしたリズムの若干のずれや揺れも含めて、
極力リズムは正確であった方が最善なのですが、
楽曲の中でも、それこそ
雰囲気もののような音やパートに関しては、
意図されたアバウトさがある方が
楽曲の質感に揺らぎが出て気持ち良くなるものです。
今の時代、コンピュータのデジタルな処理で
譜面上、正確な演奏トラックに仕上げる事は
少し教われば誰でも出来る時代です。
むしろそうする事の方が
簡単で手早く出来る場合もあります。
そんな時代だからこそ
極力、編集処理だけでは創り出せない、
人の息づかいを感じるような
心地の良い演奏や歌唱を
心がけて、レコーディングに臨んでいます。
それは本当にアナログな作業です。
録音する道具が
テープレコーダーから
パソコンに変わっただけで、
それ以外の部分の方法論は
実にオーソドックスで基本的なもの。
ただただ良い演奏を録音する。
たったそれだけです。
ある一定の世代より上の人は
録音する事を
「音を吹き込む」と言ったりします。
最近こういう言い方をしないので
忘れられがちですが、
録音するという事は
やはり「吹き込んで」いるんですよね。
そこに魂を。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ランキングに参加しています。
お暇でしたら下のバナーを応援のクリックで
ご協力お願いいたします♪
にほんブログ村 哲学・思想ブログ 人間・いのちへ
にほんブログ村