永遠

この世界というものは
今ここにあっても、
いつかはここから無くなってしまうものです。

無くなっていく事を宿命づけられた
この世界にあって、
何かが永遠にあり続ける事は
ありえないでしょう。

何故なら、ここには永遠は存在し得ないから。

どこにあるのか。

それはやはり、
人が可能な限りあまねく
認識出来うる場所にあるのでしょう。

そう考えると、永遠というものは
人の精神の中にならば
含む事ができるかもしれないと
推測できます。

もし仮に、
人の精神自体が有限のものであったとしても
永遠はそれ、つまり「個別の精神」を
超越したものであるのだろうから、
それに収まらない永遠の概念は
人にとっては永遠なのでしょう。

つまり無限の広がりを持つ世界観において、
どこにいかなる「しきい値」を設定したとしても
同一、均等に遍在するものこそを
永遠と呼ぶのでしょう。

すくなくとも、
個としての、そのひとつの精神が
満たされている時、
その世界は永遠に満たされ続けるであろうし、
苦しい時には
永遠に苦しいのだと思います。

人の視野から見える永遠とは、
つまり例えば壁の穴から壁の向こうを覗くように
永遠には程遠い限定的なものなのだから、
およそ人はそれぞれ散在する永遠から
一つを取り出して体験しているに過ぎず、
他へ目を移せば
それまで見ていた永遠は
ここから消えたように見える。
故に、この世界は
いつかは無くなっていく有限の世界なのでしょう。

永遠とは、
人には計り知れないから
永遠なのです。

おいそれと概念を立てられるほど
狭くはないのだと思います。