正しい競争原理が機能していない日本の音楽

若く音楽を志す人が
メジャーデビューしたいのなら、
もっとも高確率でそれを叶える方法があります。
それは何か。

『業界に顔が効く有力者と知り合って気に入られる事』

それだけです。
あとは見放されないように
健気に頑張っている様子を見せておけば、
割と一直線でメジャーに行けます。
実力や実績は後から付けてもらえます。

残念ですが、これ以外の道は
今の日本に於いてはノーチャンスです。

iTunesのミュージックストアを見ると、
邦楽、洋楽の両方が
一画面でみることができて、
当然試聴もできます。

多少の音楽に対するリテラシーの
高い人が見れば一目瞭然だと思うのですが、
アメリカやイギリスから発売されている
音楽と比べると、
日本の音楽のレベルの低さが際立ちます。
好み云々ではありません。
明らかに稚拙で、そもそも
本質に欠いていると断言します。

まさにアジアの猿真似。

以前も何度か書いてきた事なのですが、
日本の場合、上層の構造の問題で
音楽も含めたエンターテイメント自体が
正当な売られ方をしていないので、
先細りの一途をたどっている状況にあります。

売れる売れないは本人の実力や運に左右される
ところも多い事は認めますが、
そもそも力がありながらも
売れる売れないという土俵にまず普通は
「立たせてもらえない」のが
実情なのです。

実力で勝ち抜けば、
相応、それなりの結果が出せる(それが難しいのですが)
正当なプロフェッショナルの
ショービジネスを土壌にもつ世界と、
見世物小屋のテキ屋商売が
そのまま大きくなっただけのそれとでは、
バックボーンの強靭さが違うのです。

結局、要は何が言いたいかというと、
日本の音楽には競争があるようで
実際は無いという事です。

日本のショービジネスでは、
演者が自立する事を非常に嫌います。
組織のパワーバランスの中で
演者は蒙昧な上層の言う通りに不振舞わなくては、
この世界でやっていけないのです。

逆に言えば、音楽なんて適当にやっていても、
上の人に気に入られれば
この世界で十分やっていけるのです。

だからそれが、競争が無いという意味になるのです。

最近は日本の音楽が
ガラパゴスと言われたりするのは、
テキ屋の芸人囲い込みシステムが
何十年も続いた結果です。

そしてそこから生まれる音楽の真贋を
判別できる人が、
作る側にも楽しむ側にもいなくなった事が、
より事態を悪い方向へ進ませているのです。

これは音楽に限った事ではないのだと思います。
日本の産業全体が今、
この危機に直面しているのです。