やがて音楽は消えゆく・・・

正直言いますと、
今の時代、音楽を聴いても
心が響かない人が多いです。

それは簡単に言って
どういうことかというと、
単純かつ純粋に
「音楽を聴いて楽しいと感じない」
そういう人が多いことが目につく
ということです。

実際のところ僕の現状は、
本当に「僕を観に来るお客さん」が
いないので(笑)、なんとも
比べる論拠に乏しいところもあるのですが、
それを棚に上げたとして、
例えば路上ライブなどで
僕が客観的にはたから見ていて
たまに結構多くの(と言っても知れているのですが)
お客さんを呼ぶ人(演者、バンド)を
観に来ているお客さんなんかも、
ただその場の雰囲気に埋没して
満足しているだけで、
心から音楽を楽しんでいる様子が
その表情から窺い知ることができないのです。

僕自身、もう音楽をやるようになって
長いですから、
音楽を聴いている人が
実際に音楽に意識を集中させているか
あるいは
どこか心あらずで、
音楽を聴き流してしまっているとかいうのは、
経験則でわかります。

観客、そしてともすれば
演者までもが、
「その場の空気」というものに取り込まれて、
そこには決して必ずしも
音楽は必要ないのだろうなと、
そう感じることは多いです。

それに比べ昔はなどと
年寄り臭いことを言うつもりはありませんが、
それを差し引いても、
今の人、老若男女問わず
今の人というのは、
音楽というものに
特定かつ個別の認識を
持たなくなっているような気がするのです。

分かりやすく言うなら、
音楽が本当に「空気」みたいになっている。
上述のように、見る人聴く人だけでなく
演る人にとっても音楽が「空気」のような。

ここではっきり言わせてもらうと、
これは進歩や変化などの類のものではありません。
「人の感性の退化」が
こういう状況を作っているのだと
僕は言い切ります。

打っても鳴らない鐘など
打とうともしなくなるように、
心に響かないから
音楽を聴かなくなり、
その鐘たる音楽の鳴らし手もまた
鳴らし方を知ることなく、
暇つぶしに鳴らない鐘を
手八丁でたまに叩く。

それが今の音楽の現状だと思います。

僕も、いやそれでも
やがていつかはと
希望を持っていた時期はありましたが、
今はそういう希望は捨ててしまいました。

この世界では
もう音楽は響かないです。

音楽に心が同調して共振するような
そういう感性を持った人は
もうこの世にはいないし、
そういう人たちに出会い、
そういう人たちと音楽を謳歌したいのなら、
もう別の世界に行くしかないのかなと
最近は考えたりもしています。