パソコンに存在感は不要、でもそれが必要

$鮎沢郁弥のLes Fragments d'ete(あゆさわいくやの夏のカケラ)
Mac mini。
「重箱」とか「弁当箱」という
愛称で呼ばれる事もあります。
Apple製の商品、
もちろんiPhone、iPad等を含めた
あらゆる商品の中で、
非常に地味なラインナップの
パソコンです。
存在すら知らない人もいるかも知れません。
位置づけとしては
一応、デスクトップパソコンの部類に
入りますが、
その中身はデスクトップパソコンというより、
ノートパソコンの「画面なし」という仕様です。
それ故に、非常に小さいです。
Appleのサイトで実寸を見ると
19.7cm四方の面積、3.6cmの高さで、
一般的な音楽CDと比べると
面積はCDケースのだいたい2周りくらい大きく、
厚さ(高さ)もケース4枚弱ほどです。
重さも1.2kgととても軽く、
一度修理に出した時は
小さなショルダーバッグに入れて
店に持っていきましたし、
そもそもこれを買った時も
電気屋さんの紙袋の小さいバージョンに
入れられて、「ありがとうございました」でした。
今は、Mac、Windows問わず
デスクトップはiMacのような
ディスプレイ一体型が主流ですし、
コンパクトさを売りにするなら
ノートパソコンの方向に振れ、
突き詰めていくと
タブレットやスマホの方へと行ってしまいます。
そして、「もの」自体
余りに存在感がないので、
店に売っていても
素通りされるのだろうなと感じます。
展示されている実物も
本当に気配がないです(笑)
多分、そこに置かれている物が
パソコンである事を認識するどころか、
そこにそれがある事すら
知らないまま売り場を通り過ぎていく人も
少なくないと思います。
ディスプレイ一体型のiMacは
デザインも性能面においても
非常にそそられるものではあるのですが、
如何せん、
買い替えるとなると周辺機器が無駄になるのです。
Apple製品の中では日陰の身のMac miniですが、
僕のようにMacを数年おきに
買い替える人間にとって、
ディスプレイ、キーボードやマウス一式、
全てが同梱されているパソコンというものは
そうした周辺機器分だけ
価格が上乗せされるし、
何よりまだ使えるディスプレイ等の周辺機器も
一緒に処分しなければならないのは
非常にもったいないのです。
逆に、はじめに周辺機器を買いそろえておけば、
今後のパソコンの買い替えも
最低限である「コンピュータ」部分だけを
買い替えればいいわけですから、
実は一番維持費が安く上がるのです。
そういった意味で
今のAppleのパソコンのラインナップの中では
実は一番小回りが効き、
使いやすいのがこのMac miniだったりします。
そして、Macの場合は
3~4年前の物でも結構高値で売る事が出来るので、
売る事を考えるなら
実質3万円前後で買えたりします。
そしてなにより、
このMac miniのデザインは
デスクトップパソコンという
工業デザインの完成形だと思います。
これ以上
足しても引いてもバランスが崩れてしまう、
実に絶妙かつ秀逸なデザインだと思います。
生活の中で形而上的に林檎のマークが溶け込んでいる。
ここが素晴らしいです。
もうこれはコンバースのスニーカーのような
域に達していると思います。
パソコンが部屋にあるという事を
一切感じさせない程に
一切の主張をしないデザイン。
そこになんとなく林檎マークがあしらってある。
一昔前の言葉で言うなら、
これこそシームレスかつ
ユビキタスなホームネットワークを
構築する機器として
理想的なデザインなのでしょう。
20年近く前のパソコンと言えば
馬鹿みたいに重い米びつのようで、
それを買ったら、車を動員して
家まで持ち運ばなければなりませんでした。
今思えば、必要であるにせよ
あんなかっこ悪い「米びつ」が
部屋にでーんと「おいら、パソコンだぜ!」と
そそり立っている姿は
非常に美しくなかった。
家電量販店の自作パソコンの部品コーナーには
いまでも、そういう筐体が
未だに売っていたりしますが、
ありえません・・・。
あんなのが日常の部屋にある風景が
まずもって、ありえない。
僕の日常という人生の中で
あってはならない姿をした存在です(笑)
一度、Mac miniを部屋に置いてしまったら、
もう他のパソコンのデザインが
邪魔に見えてしまうほどに
つるんとしたデザイン。
きっと、スティーブ・ジョブズが生きていたら
上の写真のMac miniのうしろに刺さっている
ケーブルも全て
取り払ってしまおうとしたのではないかと思います。
電源ケーブルも含めて。
例えば、どの家にも
電源のブレーカーというものがありますよね。
これは家で電気を使うのに
無くてはならない物なのですが、
普段、ブレーカーの事を気に留める事など
滅多にありません。
年に一度も見ないでしょう。
それでも、それは部屋に電気を通すために
24時間、動作しているのです。
最終的にパソコンというものも
こういう存在となっていくのでしょう。
部屋のTVはもちろん、
パソコンと無線で繋がっていて
それを見ながら
必要な時はタブレットなどで
操作するのみ。
パソコンを操作しているという
意識すら希薄になっていく。
部屋の隅っこに人知れず置かれている「モノリス」
スティーブ・ジョブズなら
それを夢見ていたような気がします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
応援のクリックで
ご協力お願いいたします♪
にほんブログ村 音楽ブログ シンガーソングライターへ
にほんブログ村