安達哲の漫画

$鮎沢郁弥のLes Fragments d'ete(あゆさわいくやの夏のカケラ)
先週は
ボーカルの録音をするための
マイクを固定しておくホルダーが
壊れてしまい、
新しいのが届くまで録音が出来なかった
ということで、
以前から気になっていた本を読みました。
まあ、漫画なんですけれど
あえて「本」と言います。
以前、2~3度ブログでも
話をした事がある
安達哲氏の漫画なのですが、
この人の作品はもう、漫画じゃないです。
絵の付いた文学だと思っています。
実を言うと
「お天気お姉さん」という作品が
あまりに生理的にグロテスクで
付いていけずに挫折してしまって、
それ以降のものは全く読んでいなかったのです。
で、以前「キラキラ!」という漫画がある
という話をした時に、
ちょっと気になってその後の
彼がどんな作品を書いたのか調べたのです。
すると、
「さくらの唄」という作品は
は傑作と評されているし
「幸せのひこうき雲」というものは
文学を超えたとまで言われていると知り、
早速アマゾンで買って読んだのです。
両方とも、是非感想文を書きたい・・・。
でも今回は作品に関して
とりあえず触れずにおきます。
触れると長くなるので・・・。
なんにしろ、
良いのか悪いのか
この安達哲氏の感性には
僕と同じ匂いがする気がします。
この人は、
今風に言うなれば
「ワンピース」的な人間関係が
苦手なんだろうと思うのです。
何が理由で繋がっているかも分からず、
そしてその理由も深く知ろうともしないまま、
なんとなく
みんなで肩を抱き合う
屈託の無い笑い声のある場の中に
入っていけない人なのでしょう。
むしろ本当は、
風景に溶け込み過ぎて「個」として
判別出来ない、ごく普通の人たちのことを、
うらやましがっている事もあるかもしれません。
でもその屈託の無い笑い声に
一切のリアリティを感じていないでしょう。
きっとその笑う声の裏に
本人さえも気づいていない影がある事に
気づいてしまった時の
すべての湿度を奪ってしまうほどの
乾いた失望感の虚しさを知っているのでしょう。
そして
「笑い声」は「嗤い声」に聞こえて
どういうわけだか、
察してしまった人の中の後ろ暗さを
自分の闇のように感じてしまい、
実体のない要らない自責の念を
抱え込んでしまったりするのでしょう。
それは、見えてしまった絶望感。
知ってしまった罪悪感。
そこまで感じながらも、
「みんなが笑う」場に居心地が悪くて
その輪から逃げるように遠ざかったものの、
それでもその「異質に思える笑い」を
見ざるを得ないのだと思います。
遠ざかるほどに、
逆にその集団の中に潜む「笑い」の本質が
見え過ぎてしまって、
逃げようにも逃げられないのだと思われます。
逃げるほどに、人の心の中が
透けて見えてくるのを
やり過ごせない。
なぜなら、表現として
人を描く事は必須だから。
でも人を描くには、
それも極限までリアルに描くには、
そうした人間関係から離れて
遠くから眺めないとそれを
見る事が出来ないわけで、
実は逃げているもの、そのものを
本当は一番描こうとしていた事に気づいた時の、
半ば諦観したような覚悟という杭を
心に打ち付けた瞬間、
この世全体が大きな一振りに揺れた
振動の重さを知っている人なのではないかと思うのです。
この人は自分が「その他大勢の人たちの一員」
になれない事の孤独と、
その孤独の甘い味を知っている人だと感じます。
間違いなくこの人は
大勢の人の中で
何の違和感も無く溶け込む事が出来ないのでしょう。
大勢の最小公倍数的にお膳立てされた
人生を生きる事は肌に合わないし、
そういうお仕着せをして
偉ぶる大人を汚らわしく感じ、
そうした量産品が量産品を産む
社会とそれに乗っかる人生に
ルサンチマンどころか
軽蔑さえ感じる。
本当に美しいものを
汚い泥や油の中に沈めて
その上澄みで何の感慨も無く
無粋という言葉の意味すらも知らないまま
老いて死んでいく
その他大勢の人の人生に、
否と唱え、それでもその
汚物の中から宝石を取り出したものこそ
自身の作品の全てだと思っている。
この人にとって
自分以外の全てのものが
ガサツで汚らわしいのでしょう。
それは怒りを通り越して
悲しいのだけれど、
悪い事にその哀しみはなぜか
高揚せず、常に低い位置で
どんよりと煙っている。
この霞が自分と他者を
決定的に隔絶している事を知っている。
そしてなにより、
まるでニーチェみたいな目線で
この世を見ているくせに
ニーチェは大嫌い。
そんな人。
・・・、あ・・・。
これ、なんだか
自分の事を書いている気がしてきた・・(笑)
そもそも、
安達哲氏の人となりなんか
知らなければ、当然会った事もないし、
いち読者がなに勝手に想像してるんだよと
怒られて当然の
完全に僕の妄想プロファイルでした・・・(笑)
ごめんなさい・・・。
ただ、この人の作品に触れると
鏡で自分の姿を見せられた思いがするのです。
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