幸福を認知する為に

J.K
幸運が壊れていく時というのは
あっという間です。
それは音をたてて
崩れていくようなものではなく、
なんの意識も与えられないまま、
瞬く間に崩れていくものです。
そして人は嘆きます。
崩れ去った瓦礫の上で、
せっかく積み上げて来た
小さな幸運の集合が
解体していく事に。
人はその時
初めて
失ったものがいかに
貴重なものであったかを
知るのです。
しかしそこで
悲観してしまっては
それこそ
救いようがありません。
そうした時にこそ
失った幸運とは何だったのかを
再確認すべきなのです。
失ったものの
何たるやを知る事が出来れば、
再びそれを取り戻す事も可能なはずです。
何たるやを知る事で
その幸運は
いかようにして
自分の手のもとに入ったのかを
知る事が出来るものなのです。
そういう意味では、
「破壊」、「崩壊」というものは
逆説的に
「幸福」とは何であるかを
示唆する事象なのです。
そしてそれを知る為に
「破壊」や「崩壊」は
存在するのです。
そうした事柄を通して、
人は
幸運の意味を知る事が出来るのです。