『存在(L'existence)』

Idée Visuelle
『存在(L’existence)』
あなたは僕を知っている。
だから僕は存在できる。
僕はあなたを知っている。
だからあなたは存在している。
実態の根本の行き着くところは
「存在」
存在する事で、
この世は構成され、形成され、
そして存在できるのです。
存在しないものが存在する。
それもまたひとつの「存在」の形。
存在しないという存在。
しかし真に存在しないものは、
人の意識、心の中に
存在し得ないので、
それをイメージする事は出来ないのです。
遠い昔、例えば1000年前の
名もなき、ある特定の人を
あなたははっきりと、
その人であることを知っていると
言えるでしょうか?
その人をイメージできない限り、
その人はこの世に存在できません。
存在しないという事は、
完全な無。
「無」という存在も
それを意識した瞬間、
それは存在しますが、
意識していない時、
それは存在できません。
それはまさに、
「存在の死」
「真の実存の死」
たった一人でもいい。
その存在を知ってくれる人が居るのなら、
その人は存在できる。
遠い過去をいきた人の意識は
誰からも忘れられる事を
怖れます。
なぜなら誰も自分を知る人がいないと
そこに存在する事は叶わないからです。
今、あなたが存在できるのは
あなたを知っている人がいるお陰。
生命のリレーをさかのぼって、
あなたの両親、さらにその両親の両親・・・、
過去にあなたにバトンを託した
何代もの祖先たち。
彼らがいるから
あなたは存在できる。
彼らの存在をあなたが
知っていると言えるのなら
彼らは存在できる。
しかし、
そんな彼らの存在を
完全に忘れてしまった時、
生命のバトンは途絶えてしまいます。
あなたという存在さえ
完全なる無の一部となってしまうのです。
誰もあなたを知らない世界にさえ
あなたは存在できなくなってしますのです。
あなたを知っているから
あなたは存在できる。
僕を知ってくれているから
僕も存在できる。
「存在する」もしくは
「知っている」という事は、
普段考えるそれ以上、それほどまでに
重い事なのです。
イデ・ヴィジュエル
『存在(L’existence)」