模索の代償#10

現実感が全く無くなって
ふわふわした感じになり、
思考は完全に停止し、
全ての物事が抽象的にしか把握できず
また、人の言っている事の意味も
全く理解することは叶わず、
たまに思考が動き出したかと思えば、
不安や悲しみや憂鬱感が襲ってくる。
もう、ララ・ルミナスのワークどころか
普通の生活さえままならない状態になり、
僕は精神科に通う事となります。
始めに精神科で下された診断は
「うつ病」でした。
そこで抗鬱剤を処方されたのですが、
薬を飲んでも
精神症状はあまり良くならず、
そうしているうちに、さらには
「関係妄想」といって
人に自分の考えている事が
盗み聞きされているように感じたり、
人の考えている事が分かったような気になったり、
TVやラジオで話しをしている人が、
僕には分からない暗号を使って
僕の事を誹謗している、
そういう妄想を抱くようになっていったのです。
また、
近所の道路工事の音が
目に見えない刃物となって飛んできて
僕に突き刺さるという、
幻覚に近い症状までも顕われはじめました。
その妄想と幻覚の恐怖におののき、
完全に気がふれた
精神状態になってしまった
僕は部屋でひとり、
憂鬱と恐怖と不安、
そして完全なる自己否定に怯え
縮こまってしまいました。
あとあと、
自分なりに調べて分かったのですが、
このような症状は、
「僕」という自我が壊れて、
自分と自分以外物事の
区別がつかなくなることによって
顕われるもので、
このような症状をきたす心の病を、
「統合失調症(精神分裂病)」
と言うのだそうです。
実際、精神科でその事を話したら
「うつ病」ではなく
「統合失調症」という診断に変わりました。
「統合失調症」というのは
調べてみてわかるように、
ちょっと厄介な病気なので、
僕の行きつけの大学病院の方で
治療をしようと思い、転院する事にしたのです。
しかし、
行きつけの大学病院で診察を受けるには
予約をして1ヶ月待たなければならない
と言われたので、
しかたなく
僕の家の近所にある、別の精神科で
診察をしてもらう事にしました。
その時の僕は、1ヶ月も待てるほどの
精神状態ではありませんでした。
とにかく、一日でも早く
その時の狂気を取り除いてくれる
薬を処方して欲しかったのです、
こうして僕は、
再び近所の別の精神科の門を叩き、
「統合失調症」としての
治療を受ける事になるわけですが、
ここからが本当の
まさに地獄の狂気の始まりだったのです・・・。
つづく・・・。