病む資格のある人

病気は医者が作ると言われることがあります。
街に病院がなくなると、その街に病人がいなくなると
統計的なデータ(信ぴょう性は怪しい)を
持ち出して言われることもあります。

これらのことは、
あながち間違いではないこともあるのでしょうが、
鵜呑みにしては本質を見失うものでも
あるのだと思います。

確かに、放っておけば
そのうち治るような症状に対して
何かにつけて病名をつけ
必要のない薬を処方することは
明らかに医療費の無駄遣いですし、
これで薬に依存する構造ができているのであれば
これは問題だとは思います。

だから病院などなくてもいいというのは
早計な結論だとも思います。

当たり前のことですが、
すべての病気が放っておいて
治るということではありません。

発熱してただの風邪だと見過ごしていたら、
大変な病気が潜んでいたということも
大いにあり得るわけで、
これを早期に発見するために医者がいるわけですから、
冒頭で言われるようなことを鵜呑みにして
病院を一切否定してはならないし、
やはりたとえ閑散とした集落であっても
最低一つの医療機関は必要なのでしょう。
至極当たり前なのですが。

こう考えると、この問題は
医療を施す側の人も
あるいは受ける側の人も、
そのメンタリティによって
論点の善悪が真逆になる質のことなのかもしれません。

不要な薬に依存させるような業務であれば
それは悪と言わざるを得ませんし、
早期発見によって大病を食い止めるためには
定期的な検診やメンテナンスも必要でしょうから、
これはむしろ奨励されるべきでしょう。

この辺りの関係性やバランスを理解できないまま、
単に業績やお金の流れだけを取り出して
評価しようとするから、
医者が病気を作るという物言いをしたくなる
視野になってしまうのではないかと思うのです。

まあ、僕などは全くの素人ですから
無責任に、けれど世の中全般を見て思うことは、
本当に大多数の人は心身ともに健全で、
薬に縁のない人がほとんどなのです。

ただ、全体からしたら本当にごく少数の
本当に薬が必要な病んだ人、
あるいはこれから病むであろう人を
見つけ、それを治すことは大切なことです。

僕自身、持病を抱えている身からすると、
病気は医者が作るとか、
そういうことを言える人は
本当に健康なのだろうなと思ったりもするのです。