鋼の定理

One
「はじまり」
物事はまずその
「はじまり」から動き始めます。
そうでないものなどありません。
まして、
思想や哲学といった類いの
はじまりにおいては、
その根底に
確乎たる、揺るぎのない
まるで鋼のような理念や、
一切の破綻を許さない思想が
求められる事でしょう。
そしてそれが
基礎、基盤、揺るぐことのない礎となって、
この世に数多ある
思想や哲学という
どこまでも高く建立されていく
塔の足元になるのです。
他の物事に目を移してみましょう。
例えば「生命」。
これこそ何物よりも、
そして何物以上に堅個な
基盤、礎の上に支えられなければ
その存在すらままならない事でしょう。
想像してください。
ひとつの「生命」が
始まった瞬間の事を。
大いなる母性の元に
ほんの小さな父性が
奇跡的に導かれ、
手を結んだ瞬間の事を。
その結んだ手どうしが
奇跡的に堅牢で、
そして確乎たる
「生きよう」という
意思を発現したからこそ、
そこに「生命」は形作られ、
育まれ、
そして今こうして
ここに呼吸をして生きているのです。
もう一度思い出してください。
物事の始まりには、
決して揺らぐ事のない
堅個で確乎たる
しかしながら目に見えない
膨大な「力」が存在し、
その「力」によって
「はじまり」は
「はじまり」を終え、
支えられて
成長していくのです。
これこそが
神聖なる「はじまり」を司る
真理なのです。
だからこそ、
その最もデリケートで大切な
「はじまり」という時期を
疎かにしてはならないのです。
どんなあらゆる「はじまり」さえも。
たとえその「はじまり」が
今、輪郭さえ見えず
漠然としていたとしても、
ひとつずつ紐解くように見ていき、
「はじまり」の形を
しっかりと把握すべきだと思うのです。
なぜなら「はじまり」こそが
何事、何物においても
最も重要な過程だからです。