XIII. 生死を意識しなさい

生死を意識しなさい。
生死を常に意識した生き方をしなさい。
至極当然の事ではありますが
人とは生きてこそ意味のある存在です。
とすれば、
前向きに生きようとすればするほどに
そこに「死」という事象に
直面せざるを得なくなるものです。
なぜならば、
人はこの世に生まれ落ちた瞬間から
「死」へと向かって
時を刻みながら、
様々な経験を経て
人生を歩んでいくからです。
故に、「死」というものを
忌み嫌ったり、
その意識から遠ざけようとしてはなりません。
「死」という概念の中にこそ
「生」の真理が隠れているからです。
「生」の真理とは実は
「死」の中にその答えを宿しています。
「死」という
ひとつの人生の終わりがあるからこそ、
「生」というものに
意味付けを為さなければならないと言う
本能的な大義を
人は無意識のうちに秘めているのです。
つまり、「死」あればこそ
この人生の「生」の部分で
残しておくべきものがあるという事です。
「死」の無い「生」など
「生」とは呼びませんし、
きっとそのような「生」を
生きたとて、
残しておくべき事、
するべき事は
常に先送りにされ、
人は「今」を生きられなくなってしまいます。
「死」あってこそ、
人は「生」の中にある
「今」を大切に生き、
為すべき事は「今」為さねばならない
という真理に行き着くのです。
生死を意識する事、
それはつまり
「今」を真摯に生きる事と
同義の言葉なのです。