『死』の門前にて

The winter
日は沈み、気温が下がるように
人は今際の際に
血潮は引き、体温は下がり、
そして凍り付くように
呼吸を止めます。
それが死。
万人をもってしても
避ける事の出来ない
人生の幕引き。
その人生の最終地点に於いて
人は眼前にある「死」というものに対し、
どのように接し、
受け止めるべきものなのでしょうか。
死とは人生の凍結を意味します。
凍結されたその人生はもう
書き換え、上書きの出来ない
結果論のみの世界です。
人はその人生を凍結させた
その時点、その瞬間に
その人の人格が固定されると言っても
過言ではないでしょう。
それ故にこそ
大事になるものは、
それまで生きた足跡。
「死」という最終地点で
人格が固定されるまでの期間に、
何をそこに作り残し、
刻み残すのか。
そういう意味で
「死」というものは、
ある種の「生」の集大成であると
言えるのです。
そして「死」とは
逆説的に
「生」というものの
存在理由を証明する
もっとも揺るぎの無い
確証でもあるのです。