めずらしく晴れた6月のある日

丘を登ったところにある
小さな教会
そこにある樫の木によじ登ると
そこから街が見渡せるんだ
木の枝に腰を乗せて
めずらしく晴れた6月の
乾いた風が頬をかすめるんだ
さらら さらら
下にひろがる街に向かって
大きな声で唄うんだ
この世のあらゆる
いのちの息吹に向かって
大きな声で唄うんだ
僕は生きている
僕は生きているって
でもきっと
下の街まで僕の歌声は届かない・・・
それでも僕は唄うんだ
ありったけの力を振り絞って
声が枯れて唄えなくなるまで
僕は生きている
僕は生きているって
この世のあらゆる
いのちの息吹に向かって
唄うんだ
誰もいないこの丘の
樫の木の上から
唄うんだ
めずらしく晴れた6月の
乾いた風が僕を通り過ぎる
さらら さらら
ああ風よ
僕の歌を連れて
どこまで飛んでゆくの?
僕の歌は
どこまで飛んでゆくの?