The Next Day – David Bowie

デヴィッド・ボウイが逝去して
およそ1年あまりになります。

遺作となったアルバム「★(Black Star)」は
亡くなる前から高評価を得ていましたが、
彼の死も相まってか、
さらに神格化された作品になりました。
実際、傑作だったと思います。

ただ、彼の作品群の中では
いささか、全体として内容が重かった気もします。
それだけ
「特別な位置付け」のアルバムなのでしょう。

そこで、「★」より以前のアルバムで
デビッド・ボウイを堪能できるアルバムはと考えるに、
「★」の一つ前のアルバム
「The Next Day」(2013年)は
デビッド・ボウイのもっとも新しいものであると同時に、
彼のもっとも古典的なサウンドでもあるという意味で、
相当にクオリティが高い作品になっています。

いわば、「★」が最後の「辞世の句」的な
一種の「死に対する」コンセプチュアル作品であるのなら、
「The Next Day」は
彼のそれまでのキャリアを総合して
「はい、これがデビッド・ボウイです(でした)よ」
と受け取れるような内容になっている気がします。

今となっては、
このアルバムの役割というのは重要な気がします。
「The Next Day」があったからこそ
彼の音楽に一本の筋を通すことができたのではないかと。
これがなかったら、
結構、彼のサウンドというのは
「これ」という決め手に欠けてしまったまま
故人になっていたのではないか、という気もしたりします。

何れにしても、
「自分の音」というものを
最後に総括できた上に、
別口で辞世の句のような作品まで残せるとは、
いかにエンターテイメントの神様に
愛されていたか伺い知ることができます。

この記事を書くにあたって、
少しwikiを読んでみたのですが、
彼は1月8日に生まれて、
1月10日に亡くなるという、
(満69歳、ロック!笑)
しかもそれが、
最後のアルバムをリリースした直後と、
まあ、なんとも色々と
ジャストというか、
実に無駄のない効率的な生き方をしてるなと思ったり・・・。
まるではじめからシナリオがあったかのように。
徳が高かったんでしょうね。

R.I.P

アルバム「The Next Day」より

余談ですが、
僕自身、デビッド・ボウイに関して
特にファンではないと言ってはいるものの、
結構、アルバムのレビューはしている気がする・・・。
意識していないけれど、
実はファンだったのかも(笑)