XXXI. 捧げなさい

捧げなさい。
どんな事でも良いのです。
人生に於いて
これこそはと
一生を賭して
捧げる事の出来る
物事を。
その物事に
身を賭したその結果は
この際、問題ではありません。
身を賭して人生に
何かを捧げた事によって
得られた体験、悟り。
それらこそが
人生に於いて
何かを捧げる事の
最大の意義であるのです。
それらは
捧げる事と引き換えに得られる
何ものにも代え難く
そして得難い
自身の叡智となって、
自己の人生を
より深く、
また思惟(しい)に満ちたものに
してくれることでしょう。
ここで賢明なる者なら
気付くはずです。
捧げるという行為は
実のところ、
自らに与える行為へと
繋がっているという事に。
それはなぜか。
結局のところ
人の人生というものは
全てが一つに繋がり、
結びついているからです。
故に捧げるなら
与えられるのです。
それは単に力学的に
作用が移動したに過ぎない事が、
捧げるという行為にも
なぞらえる事ができる、
ただそれだけの事なのです。