Idée visuel
『誕生（la naissance）』
僕は生まれた
今日この日
暖かな春の日差しの産湯に浸かり
僕は生まれた
けれど
はじめは
誰も僕の誕生を
喜ぶものはいなかった
たったひとり
産声を上げ
その産声も虚しく
中空の彼方に溶け去った
僕は生まれた
生まれ変わった
うららかな春の日差しの真綿に包まれて
僕は生まれ変わった
けれど
はじめは
歩く事さえ
おぼつかず
それでも懸命に
歩こうとした
歩こうとした
この世の闇夜は
あまりに暗くて
松明に火を灯した
そうして歩いていくうちに
ひとり
またひとり
供に歩いてくれる人が現れて
語る言葉にも
自信と確信が満ち満ちて
今日もまた
今この場所から
明日のあの場所へ
歩いてゆく
歩いてゆく
でももう
ひとりじゃない
幾人もの仲間が
僕の照らす松明を頼りに
供に歩いてくれる
これから
もっともっと
供に歩いてくれる人が
現れてくれると
いいなと思った
イデ・ヴィジュエル
『誕生（la naissance）』