名古屋駅は角砂糖

ここ数年、
いや着工から数えれば
かれこれ10年以上になるのでしょうが、
名古屋駅周辺というのは
現在、再開発(の完成)ラッシュで、
この地域のメディアも
事あるごとに、名古屋駅周辺のことを
取り沙汰することが多くなりました。

結局、何が報道されるのかといえば、
大きなデパートやブランドの店、
そしてグルメのお店が
再開発された巨大なビルの中に入るということで、
報道以前に、ほとんど宣伝なのだな、とは思います。

まあ、これはあくまで
全く僕個人の感覚であると断って
正直な話をしますと、
高級ブランドだとか、
グルメだとか、
そういうものを一手に集めたデパートだとか、
どういうものというのは
今の僕には、
なんというか、言葉で言い表しにくいのですが、
とにかく
「フィジカルすぎて重い」と感じるのです。

店舗が一つずつ、点在していれば
それほど気にならないのでしょうが、
今の名古屋駅のように
巨大な高層ビルの中に
まるでパックされたかのように
集中してあると、
とにかく「重い」

数年前まで、自分もそんな街に
住んでいたにもかかわらず思うのは、
よくまあ、こんな場所にいて
窒息しないもんだな、と思ったりとか。

こういう言い方は
悪意があるように捉えられてしまうのでしょうが、
あの摩天楼を嬉々として闊歩する人たちもまた、
富や力、そして美味しい肉が
大好きそうな人ばかり。

今の名駅地区というのは、
地面に落とされた角砂糖のようです。
そしてそこに、地べたを這い回る
蟻が群がる様に似ています。
良かったね。
大好きな「モノ」がいっぱいあるよ〜。
と、遠巻きに冷めて見てしまう
自分がいます。

何やら皮肉めいた物言いになってしまいましたが、
決してそれが悪いという気は無いのです。
完全に、嗜好の問題として、
うん、僕の住む世界じゃないな。
そう思うと、
引っ越す縁があったのも必然のような、と
感じたりするのです。

今住んでいる街、というか
マンションからは、
名古屋駅の高層ビルがよく見えます。
特に、夜になるとキラキラ綺麗です。

そんな、夜になるとキラキラ輝く
角砂糖を見てふと、
ああいう高層ビルだの、
そこに入る店だのというものは、
まさに「物質的な富」の象徴だなと感じます。
人間の物理的な感覚を刺激し、満たし、
そしてその対価もまた物理的なもの。
何もかもが「モノ」の世界。

そんな「モノ」の欲が
地上100メートルもある塔になった。
物理的には「高い」けど、
それ以外の部分では
どこか底知れない「低さ」を感じてしまうのが
今の名駅。

この「低さ」の正体は一体なんだろう?と考えると、
人の物欲の重みで地盤(もちろん形而上の)が
下がっているのではないかと考えたくもなります。

あの場所はまだまだ、
人の物欲で積み上がって、拡大していくでしょう。
遠くで夜景として見るぶんには綺麗ですが、
なの「重い場」の中に
好き好んで身を投じる趣味は、
個人的には持ち合わせてはいないな、と。

その「重さ」がこそが「現実」なんだと
言う人もいるだろうし、
それがいいと言う人の好みも認めるけれど、
それにしても
一体誰だよ。
名駅に砂糖を落としていったやつは??

って言うか、
そう言う地の底「まさにそこ」で
生まれ育ったのが僕なんですけどね(笑)


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