孤立の意義

D.8
孤立とは人にとって
堪え難い状況のひとつです。
しかし
堪え難い苦痛、
ただそれだけのものなのでしょうか。
孤立とは
受動的に外部との関連が
断たれた状態。
つまりは、
能動的に
外部との関連を断つ
引き蘢るという行為の
対となる意味合いがあるのです。
受動的であれ
能動的であれ
人が外部との関係を失うと、
その意識は
自身の内面へと向かいます。
それらは
自己のなんたるやを内省させしめ、
究極的には
その閉ざされた状況の中から
真の自我に目覚める機会が
与えられます。
故に
他者との間で
孤立してしまった時こそ、
よくよく
自身の内面を見つめる必要があるのです。
いや、むしろ
能動的、受動的に拘らず
孤立した状態というものは、
自己の内面と対峙するための
貴重な期間と言えなくもないのです。
そのことから
間違いなく言えるでしょう。
孤立は人を賢者にする、と。
ただしかし、
自身の内面に向かわずしては
そこに苦痛だけが
あるのみでもあるのです。