XXV. 忘れなさい

忘れなさい。
体験した辛い出来事はもちろん、
幸福と感じた事でさえ。
何故忘れなければならないのか。
忘却は
新たな自己の発現を促します。
つまり、
忘れてこそ
新たな自分自身を再構築する事が出来るし
また、
そうする事によって
人の精神は成長し拡大してゆくのです。
自身の再構築。
人生に於いてこれほど
重要でありながら
難しい事は無いでしょう。
なぜならば、
まして現状が幸福な状態にあるのなら
間違いなく人は
その状態を維持したいと
考えるからです。
しかし、
そうしたこともまた
忘却の彼方へ
捨て置かなければならない事もあるのです。
真の安住とは、
そこに留まる事ではなく
つつがなく
前へ進み成長する事なのです。
そしてそれを阻むものこそ、
あらゆる体験で構成された
記憶。
良くも悪くも、
記憶は人を留まらせます。
それは人に精神の成長にとって
決して健全な事とは言いがたいものです。
故に
忘れなさい。
良い事も、悪い事も、
全て忘れて
毎瞬、その瞬間事に
自分自身、
つまり自己を再構成するのです。
さらには、精神の成長は
自然の摂理とも密接に
関わってくるものでもあるのです。