『12月(Le décembre)』

Idée visuel
『12月(Le décembre)』
鉛色の空を映した湖面を
水鳥が泳ぐ
木枯らしは細雪を舞い踊らせて
水鳥は飛んでいった
枯れ葉は舞い落ち
すっかりやせ細った木の幹に
水鳥は目もくれず
雪の舞う鉛色の空を
どこか遠く
南へと飛んでいった
あの水鳥は

どこへ行ったのだろう
すすけて枯れた
この景色には興味は無いと
捨てるように
ここをあとにして
水鳥はどこか南へ
飛んでいった
こんな枯れ木には目もくれず
一足先に
冬を飛び越え
どこか南へ
飛んでいった
冬の空を流れる雪雲も
水鳥の行方を知らず
湖面のさざ波も
水鳥の行方を語らず
イデ・ヴィジュエル
『12月(Le décembre)』