離別のフィロソフィ

C.10/R
人は時として
別れたくなくとも
別れざるを得ない
悲しい離別を体験することがあります。
しかしそれは
仕方のないことなのです。
人の人生は
無限の方向性に
広がってはいるものの
結局はその選択肢の中から
たった一つの道だけを
選ばなければなりません。
故に人の人生は
一本道なのです。
その道は
他者と平行して
歩むこともあれば、
同じ道を
先に行く者もいたり、
後から続く者もいたり、
そしてまた
交差することもあれば、
ある時期を境にして
隣を歩いていた者の道が
大きく曲がり、
遠く自分がかはなれていくことも
あるのです。
だから
時を供にした他者と
道を離れていくのも
仕方のないことなのです。
それなのに
その他者に執着して
まして追いかけようとしては
人生の行くべき道を
見誤ることさえあるでしょう。
苦しまずに済んだ道を
行けばよかったのに
あえて苦しみの道を選ぶ、
そんなことも
あるかもしれません。
しかし一度離れると決まった道は
元には戻せません。
時間は未来にしか進んでいかないが故、
どれだけ追いかけても
結局は孤独を味わうに
とどまることでしょう。
人生の中で
向かう方向が同じ者もいれば
違う者もいる。
離別とは、
その人と向かう場所が違ったことを
再認識する体験なのです。
自分は自分で、
自分の道をただ
行けば良いのです。