金銭力と精神性

C.9/R
人は金銭的に安定し
自立した生活が送れるようになったとき
はじめて
精神も安定すると言われています。
それはつまり
どういうことなのでしょうか。
結局のところ
「金銭」というものは
自身の行動範囲のことであり、
その多少もまた
行動範囲の大小に
比例するものなのです。
それが実際のこの世の中なのです。
しかしその行動範囲の
広さが決して
精神よりさらに深い
心の部分まで
安楽をもたらすかと言えば、
意外とそうでもないのかもしれません。
確かに行動範囲が広い、
つまりは選択範囲が広いということは
何でも出来、
精神の中の不在を
満たしてくれることでしょう。
しかしその奥にあるところの
心が満たされていない場合、
いくら精神を満たそうとしても
満たされることなく、
何度でも満たそうとして
やがてそれが「依存」へと
変わっていくのです。
金銭的に安定し
自立した生活を送れるようになったのなら
その時こそ本来、
上辺の精神の欠落を埋めることよりも先に
心の中の不在を埋めることを
優先した方が良いのではないでしょうか。
精神と心、このふたつは
似ているようでまるで違います。
人格を構成する層が違うのです。
まず土台となる心を安定させなければ
その上の層にあたる精神の部分を
埋めてもすぐ崩落してしまうのです。
心に穴が空いているからです。
それ故に自立した時こそ、
心の不足を補ってやらなければならないのです。
しかし人とは悲しいもので、
経済的に安定してしまうと
肝心の心と対峙することを
忘れてしまうものなのです。