離別から見える自己の再認識

D.3
別れ。
それは誰しもが
少なくとも
一度は必ず経験する
悲しい現実です。
それほどまでに
人生の基部に
しっかりと根を張る
人生に於ける事象には、
しっかり根を張るだけの
意味があるのです。
人は離別を通して
その人のもたらす
自分への影響力を再認識するのです。
それが良い影響力であれ、
悪しき影響力であれ、
それらは
離別を通して再認識されるものなのです。
そして再び光のあたった
袂を分かった人に対する
認識は、
自分自身のそれまで為してきた
行為を省みる時間を
機会を与えることでしょう。
そして知るのです。
人にとって人間関係、
人間関係の形とは、
自分自身の心の有り様を
克明に映し出す
写し鏡であることに。
なぜなら、
人々はその関係を
もたらされる影響の反応
として認識し、
他者との関わり合いを
自らの認識を元に
つねに再定義を繰り返すことで、
自分の有り様も
刻々と変わっていくからです。
その変容の様を
如実に映し出すのが
他者という存在。
そしてその他者が
自分のもとを去った後、
その他者の人格および、
その他者との関係に於ける
意味合いが固定化される事によって
自身のその他者との間で築かれた
関係の定義も固定化され、
それが自身を構成する
人格の一部として定着するのです。
むろん、
また別の他者との関係性に於いて
その定着した定義が
上書きされることは
当然あり得るでしょう。
しかし、定着した人格を
はっきりと再認識出来る機会というのは、
皮肉にも
その他者との
永遠の別れを通して
認識され得るものであったり
するものなのです。
それ故に
別れ、離別とは
自分自身の根幹を再認識するために
避けては通れない
人生に於ける事象なのです。