同質たる異質

D.2
この世には
男性と女性と言う
ふたつの性があります。
果たして何故、
二種類の性があるのでしょう。
それもその二者が
対になるような形で。
きっと我々は
同質たる完全なる異質を求める
性質があるのでしょう。
つまり、
正反対、対であると言うことに
意味を見いだし、
正反対という完全なる異質と
同化し、
異質を同質足らしめようという
衝動をきっと本能のうちに
隠し持っているのではないでしょうか。
それは現実的、
生物学的に言えば
種の進化のために備わった
本能であると説明されるのでしょう。
しかし果たして、
たったそれだけのことなのでしょうか。
動物としての「ヒト」の進化を促すために、
より自分の遺伝情報と違うものを
引き寄せ合う、
たしかにそれは紛れもない真実でしょう。
しかし「ヒト」という種は
「精神」を宿した地球上唯一の種です。
ということは、
精神性の進化のために
その衝動が備わっていても
おかしくはないのではないでしょうか。
要するに、
「ヒト」という種は
その精神性を通して、
自分と似て非なる対称形とも言うべき
「異質」を同化することで、
それまで自身に備わっていなかった
新たな精神性を獲得しようとする衝動を、
個体の進化のためのそれと同様に
備え持っているのではないかということ。
もしその概念が真実であるのなら、
人は、他者に対する
理解力や感受性、洞察力を
より強く備え持った者こそ、
豊かな精神を持ち得る者と言うことが出来ます。
そのためにこの世には
異質なる同質とも言うべき
ふたつの性があるのではないでしょうか。