春待ち坂

春待ち坂のてっぺんで
君は僕を呼ぶ
北風がまだ強くて
君の呼び声はまだきこえないけれど
それでも必死で
僕を呼ぶその姿が
とても可愛らしくて
愛おしくて
春待ち坂のてっぺんまで
僕は一気に駆け上がりたいけれど
今の僕にはそれだけの
力がまだ無いのが悔しいけれど
それでも必死で
僕を呼ぶ声に耳を傾けて
それだけを頼りに
それだけを力に
ゆっくりだけど
僕は登ってゆく
この春待ち坂のてっぺんまで
遠く長い道のりを
しっかり足を踏みしめて
冷たい北風を頬に浮け
ただひたすら
君をこの腕に抱くために
僕は登る
僕は登る
春待ち坂のてっぺんに
君が待っている
今すぐそこまで行きたいけれど
僕にはまだ
そんな力は無い
僕にはまだ
そんな資格は無い