フランツ・カフカ。
およそ100年前のチェコの小説家。
代表作はもちろん「変身」(今の時代にこそ読みたい名著)
僕自身、その「変身」は読みましたが、
彼の人となりとかは、
この本を読むまで、全く知りませんでした。
そして読んで、彼を知るに、
彼フランツ・カフカという人の
キャラの(影の)濃さに、つい惹きつけられてしまいます。
以前、
「癒される歌」というのは
ポジティブな雰囲気の楽曲ではなく、
むしろネガティブな雰囲気のそれだ、
というような旨の話をしたことがあります。
このあたりで←
例えば、この紹介する本の中でも引用されている
カフカの言葉として、
引用:
将来にむかって歩くことは、ぼくにはできません。
将来にむかってつまずくこと、これはできます。
いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです。
この言葉の威力(ネガティブな)は半端ありません。
こういう、ネガティブなエネルギーこそ
同じようにネガティブに陥って底に貼り付いている心を
その底面から引き剥がしてくれるもののような気がします。
疲弊した心の添え木になる言葉というのは、
こういうネガティブな言葉なのではないかと。
仮に今、
ここに池で溺れている人がいたとします。
色々な助け方があるでしょう。
人を呼ぶとか、
消防に救助を求めるだとか、
掴まるためのロープを投げ渡すのもいいでしょう。
けれど、カフカの言葉というのは、
まさに自らも池に飛び込み
溺れている人の全体重を背負って
一緒に溺れるような、
そういう助け方をするのです。
もちろん、カフカ自身は別に救済目的で
その言葉を発したわけではありませんが・・・。
おぼれて瀕死になっている時、
なぜかいつも隣でも溺れて死にかけている人、
それがカフカ。
今、人生に溺死しそうになっている人。
そんな人がこの本を読めば、
少なくともカフカが
一緒になって溺れてくれます。
カフカを浮き輪にして這い上がれるか、
それとも一緒にカフカと沈むか、
それは自分次第ですが・・・。