ロマンス

H.A
ロマンスというものは
それが突然で
予想外であればあるほどに、
その恋心は熱く燃え上がるものです。
なぜなら
その青天の霹靂に
自らの運命を
重ねだぶらせて
見てしまうからです。
それ故に
その恋した相手を
絶対的な存在と
思い込み、
頑に譲ろうとしなくなることが
そもそも
不幸、そして満たされ得ぬ苦しみの
はじまりなのかも知れません。
突発的に燃え上がった恋は
そこによほど
固い絆を形成しないかぎり
短命に終ってしまうものです。
逆に言えば、
突如沸き上がった恋心を
長持ちさせるには、
その恋した相手との関係を
長続きさせるには、
よくよく冷静に
相手を見、
そして固い絆を結ぶべき
相手か否かを
見定める必要があるのです。
しかし人というものは、
燃え上がった恋の甘さに
そのことを忘れ、
美化された相手の幻だけを
追い求めてしまいがちです。
恋とは
その相手を好きになる現象ではなく、
実のところ
自分が理想とする恋人のディテールを
相手に投影して見る事によって
勘違いと言ってもいい
蜃気楼のような幻を
好きになることを言うのです。
そこに、
冷静にその相手の人間像を
見て判断するという行為は、
なかなか伴わないのが現実なのです。