ジェーン・バーキンの言葉 – 山口路子

過去のジェーン・バーキンの
インタビューからフィーチャーされた、
いわゆる語録集。

「読むことで美しくなる本」
という、女性向けシリーズで、
オードリー・ヘップバーン
マリリン・モンロー
ココ・シャネル、
そしてこのジェーン・バーキンのものが
あるようです(2019年現在)

1〜2日で読める軽い本です。

もともと以前から、
ジェーン・バーキンのファンである僕は
この人以外に選択肢はありませんでしたが、
人によっては、
他の3人の語録の中に
ツボにハマるものがあるかもしれません。
けど、おそらく大きく見れば、
その人なりの個性でラップはされているものの、
ざっくり似たような内容のような気もします。

例えば、少し抜粋すると

『若い頃は、
60歳なんて人生の終わりと思っていたけれど
そんなことないわ』

とか、

『逆境では、
自分のしていることは正しい、と
信じることが大切なの』

などなど、
こうした言葉に至った背景を解説しつつ
まとめられています。

僕自身、ジェーン・バーキンのファンであると
公言してはいるものの、
年代的なものもあって
彼女のバイオグラフィについては、
ネットで知り得る断片的なものしか知りません。

けれど、やはりこうやって
書籍にまとめれたものを腰を据えて読むと、
その人の人となりもよく理解できて、
語録集にまとめて価値がある言質が
ここにはあると思えます。
もちろん、きっと他の3人もそうでしょう。

ざっと読んでみると、
そもそも名言というものは
インタビューの内容はあらかじめ知らされ、
それに対する答えを
あらかじめ、ある程度準備してあろうにしろ、
インタビューというセッションの中では
(その文脈やタイミングも含めて)偶然
発せられたものであって、
ロジカルに組み立てたところからは
生まれないものだだろうなと
よくよく考えせさられます。

ならば、そうした名言、言質というものは
どういう仕組みで降ってくるかといえば、
それはもう、
発する人の醸成された人格から
湧き立たせるしかないのではないでしょうか。

実際、
このシリーズの本に書かれている
例えば、上述の引用したセリフを、
表面的なものだけ取ってつけて
誰かが言ったところで、
それは芸人のネタにしかならないでしょう。

彼女たちの言質は
読む人の内的世界に蓄えられ、
読者の人生経験と化学反応を起こすことで
醸成し、発酵され、
また次の
「ふとした瞬間に降ってくる自分ならではの言葉」
となって、
その新しく醸し出された言葉を受け取った人の
内的世界の肥やしとなって
精神を育むのだと思います。

そう考えるとなるほど。

確かに、この本(シリーズ)は
「読むことで美しくなる本」
なのかもしれません。

酸いも甘いも嚙み分けてきた女性(笑)に
お勧めできる本だと思いました。