『デューン / 砂の惑星』を読んだ

『デューン!』
by 村上ショージ

違う。

『デューン / 砂の惑星』である。

アメリカのSF小説家、フランク・ハーバート1965年の作品。
なお、僕は彼の作品について「デューン」シリーズしか知らない(笑)

さて、もう何ヶ月も前。今年の春先の話なのですが、
本屋でこの「デューン」の新訳版というものを見つけたので
これが機会と、買って読みました。

超有名な小説で、映画などの映像化もされている作品ですので、
名前だけはよく知っていましたが、
いかんせん、1965年前、今から数えれば
50年以上も前の作品ということもあって、
読んだことはありませんでした。
もちろん、ストーリーも知らない。

この作品に限ったことではないのですが、
海外の小説というのは
翻訳が古いと、なんだかんだで
読みづらいんですよね。
何十年も前の翻訳だと、言葉がいちいち古くて、
ともすれば、読みながら「今風の言葉」に
脳内変換しないと、入ってこない文章も少なからずで。
なので僕的には
あまり古い作品は敬遠しがちだったりするのですが・・・。

と、そこに来てのこの「新訳版」だったので
ようやく手にとってみた、というわけです。

この作品を読みながら、
ネットでこの作品に対する評価や、
時代背景なども調べつつ楽しみました。

さすがスターウォーズの元ネ・・いや何でもない・・・(笑)
普通に面白いよ。
ただ、これはSFの古典であるということを
あらかじめ理解しておかないと、
真新しい驚きや感動はないかもしれない。
これが半世紀遅れのご新規さんに
「これ、どんな?」と聞かれた時の答えかもしれません。

ただ、古典と侮ってはいけないことも確かです。

「デューン」について評したり、解説した
ネットのページにたいていは書いてあるように、
その後、特に80年代の
ハリウッドのスペースオペラ(宇宙もののSF)、
そして日本のアニメに与えた影響は絶大で、
今となってはベタとなっているような
SF的世界観の要素、演出、概念の起源は
ここにあると言って、全く差し障りはないと考えます。

例えば、
高度な文明人の宇宙的版図をめぐる戦いとか、
砂漠の中のハイテクノロジーな文明だとか、
それを脅かす、巨大な蟲とか、
予言された進化した人間だとか、
さらに、様々な細かい設定などなど。

物語に登場する小道具から、
物語そのものを動かす演出の部分に至るまで、
「こういうのって、この作品が元なのか」と
気づく部分がそこらじゅうに散らばっています。

それが
『デューン / 砂の惑星』

この作品がのちにいかにして、
多くの他のSF作品(もちろん小説に限らず)に
インスピレーションを与え、
「今ではよく知る、あのカッコいいもの」へと
変貌を遂げ、収斂されていったのか、
そういった部分に想いを馳せながら読むと、
なかなかに味わい深い作品なのではないでしょうか。