落伍者

Je pense à~
僕は何故生きているのだろう。
生まれてきてからこのかた、
どうして今まで生きてきたのだろう。
僕はいったい
何を生み出したと言うのだろう。
音楽?
あれは預かり物であり、
授かり物だ。
決して僕の物ではない。
僕はそんな頂き物を
ただ必要とし縁ある人の物に届けた。
たったそれだけの事しかしていない。
人として
たったそれだけの事しか出来ない自分は
もしかすると
不要な人間なのではないかとさえ思えてくる。
僕が僕である事とは、
何かを残す事ではなく
何で在ったのかではないか、
そう問われれば
僕は自分の生きてきた人生、
何ものでもなかった、
そう言わざるを得ない。
そう多分、僕は本当は
その根本に於いて
実に薄っぺらで小さく、
何も残す事の出来ない
無能な人間なのではないか、
そう思えてしまう。
そしてそんな僕は
人として
人足らしめる事の出来なかった
落伍者なのだろう。
もう普通の「人」の道に
軌道修正するには、
あまりにその軌道を外れ過ぎてしまった。
いろいろな意味で
その人生の軌道を外れ過ぎてしまった。
考えてみれば、
僕は昔から、そう子供の頃から
自分で在るということは
どういうことかと模索し、
また模索しきれないが故に
結局、
自分の存在を否定するところから、
つまり消去法で
自身の在り方を探していたような気がする。
否定する事によって
自身のアイデンティティを
構築してきたように思える。
そのうえで
僕は今、何故ここに生きているのだろう。
生まれてから今まで、
どうして死を選ばなかったのだろう。
僕は人の死とは、
自身の精神の昇華だと考えている。
ならばいつだって
自分の意志で自らを昇華出来る筈なのに、
僕は未だにこの世に
生きながらえている。
それは何故か?
人として落伍者である僕が
生きていて良い理由などない筈だし、
長く生きれば生きるほど、
生の苦しみが大きくなっていく事も
知っているのに。
そこまで分かっていて
僕は何故、
この世に留まろうとするのか。
生きると言う事に
しがみつこうとするのか。
本当は全てを終わりにしたいのに。