クラウン

XII. The Hanged Man・・・
心を病んでいると、
ふとした拍子に
この先の不安に教われることが
ままあります。
いや、心を病んでいない人でも、
自分の先行きに不安になったりします。
この先、病気になるんじゃないだろうか?
この先、事故に遭うんじゃないだろうか?
この先、仕事を失うんじゃないだろうか?
この先、この先、この先・・・。
いつも心は未来に先回りして、
今、ここで起こってもいない出来事に
想いを煩わせて安心できない・・・。
心を病んでいると、
ふとした拍子に
以前に体験した辛かった出来事に
心が苛まれる事があります。
いや、心を病んでいない人だって
昔の悲しみにとらわれて憂鬱になったりします。
この前、何のいわれもない事で罵られた。
この前、信じていた人に裏切られた。
この前、手痛い失敗をしてしまった。
この前、この前、この前・・・。
いつも心は過去に後戻りをして、
今、ここで起こってもいない出来事に
想いを捕われて救われない・・・。
この先、この先、この先・・・。
この前、この前、この前・・・。
いつも「今」じゃないところに
心を縛り付けて苦しそう・・・。
まるで新米のクラウンが
頼り無さげにふらふらと
玉乗りをしているかのように、
未来によろめきそうになったり、
過去に足をすくわれそうになったり・・・。
ベテランのクラウンは
上手に玉乗りをします。
過去と未来、
上手にバランスをとりながら
常に今、この瞬間という
中心点に心を据えて、
上手に玉乗りをします。
僕は、
あとどれだけの憂鬱を乗り越えれば、
ベテランのクラウンになれるのでしょうか?