リボンの騎士 – 手塚治虫

お正月にこれを読みました。

僕が子供の頃、
よく、アニメが再放送でやっていました。

あれから40年とか過ぎた今、
漫画を見つけたので読んだのですが、
結構、話を覚えていたので
相当、再放送をやっていたのではないかと。

初出がなんと昭和28年というから驚きなのですが、
まあ、絵だとか演出だとか、
時代に依存する部分はともかく、
話そのものは、今でも全く古さを感じませんでした。

主人公は「サファイア」という
男の心と女の心を持った王子(王女)。
そこに、
男であること、あるいは女であることによって生じる
様々な、他の登場人物との利害、
例えば、
男であって欲しい人物、
女であって欲しい人物、
男の心が欲しい人物、
女の心が欲しい人物、
などなど、そうした人たちによって
ストーリーが展開していくというもの。

上述したように、昭和28年以降、
雑誌で連載されていた昭和40年代ごろまでというのは、
日本ではまだまだ、
男尊女卑の価値観がごく当たり前の考え方として
存在していた時代です。
そういう時代にあって、
男性性と女性性の平等性を物語のベースにするということを
発想できたことがすごいなと思ます。

今の時代、人間の尊厳と自由のもと、
その人間存在自体のジェンダーの境界が
ますます曖昧になっています。

男として、あるいは女として、
そういうものの言い方に疑義が問われる時代です。

けれど、
自然には摂理として本来、
男性性と女性性が存在しているのです。
それは雄と雌という個体のジェンダーについてはもちろん、
「自分」というアイデンティティの中にも
そうしたジェンダーを内包している。

「リボンの騎士」という作品自体、
少女漫画として描かれたもので、
きっと、そんな難しく考えて読むものではないのでしょう。
普通に、シンプルに物語は楽しめます。

にも拘らず、踏み込んだ大人な考察への余地がある点こそが、
60年という時を超えても物語が陳腐化しない
理由なのではないでしょうか。