土用波

傾いた太陽が
水平線を揺らす
ため息ひとつで
暮れなずむ海岸で
行く夏のどこかに
おきざりのままの
君と僕との何かが
見つからない
掛け違えて
とれそうなボタンを
かばうように
すれ違う心なんて
ただ見ないようにしてた
駆け抜けた
この夏を
土用波がさらっていく
ゆらゆらと流されて
遥か沖まで遠くへ
群青の空
焼ける砂
土用波が冷ましていく
それでもまだ
微熱に酔って
ほどけた指を追いかける
傾いた太陽が
水平線に濡れる
ため息ひとつで
僕はおきざりのまま
波打ち際を綱渡り
割れた貝殻が足もとを切り裂いた
駆け抜けた
この夏を
土用波がさらっていく
駆け抜けた
この愛を
土用波がさらっていく