パレードが来たよ

その時、僕は
まだ幕の開いていない
ステージの上に居た。
大きさからいって
どうやら大きなホールの様だ。
他のダンサーと思しき人たちと
絡み合いながら、
モデルさながらにキビキビと歩く。
そのモデルたちの中には
90年代のエ○スタ○ー系の
黒い服を来たバンドマンも
混ざっている。
僕たちは計算し尽くされた
システマチックな動きで
幕の開かないステージを練り歩く。
完璧にショウアップされた動きだ。
そう、ステージは開いてはいないけれど
影が投射されて
客席に見えるようになっているらしい。
そう、もう本番は始まっているのだ。
だから僕も、完全に慣れた風で
システマチックに
ダンサーや黒服のバンドマンたちと一緒に
絡み合いながら動く。
そうこうしているうちに、
ローディーと思しき人が
機材をまるで機械仕掛けのそれのように
ステージにセッティングしはじめた。
僕はセッティングされた機材の中から
ギターを手に取り、肩に背負った。
客席側からいろいろな人に名前を
絶叫する声が聞こえる。
僕を呼ぶ声も混じっていた。
ギターを肩にかけた僕は
ポケットに入れたピックを取り
いつでも演奏できる状態になった。
午前2時42分
一夜の夢は終った。
現実的に
実際の僕はまだあの列の仲間に入れない・・・。