音楽は薬ではない

僕のファーストアルバム「風は群青空をそよぐ」の中に
「優しい歌」という曲があります。

元々は東日本大震災の事がきっかで
歌や音楽に人を救う力はあるのか、
という葛藤から生まれた歌なのですが、
これに関して
今の僕は一定の見解を持っています。

少し早い話になってしまいますが、
このテーマは僕のサードアルバムで
しっかり回答したいテーマとして
2014年の現段階で
その構想をゆっくりですが練っている途中です。

そしてまた、このテーマは
僕の中である種のライフワークになるのだろうと思っています。

あらかじめ結論だけ言うなら、
はっきり言って
歌や音楽、詩もそうですが、
これらに人を救う力はないし、
今本当に救われるべき人にとって
音楽などというものは、ただ邪魔なものなのだろうと
考えています。

具体的に言えば、
音楽だけで救われるような人は、
比較的まだ恵まれた人であるし、
音楽で気持ちが晴れる程度の不具合であれば、
それは音楽でなくても良いし、
放っておいてもそのうち自力で癒されるだけの
生命力、精神をもった人なのでしょう。

乱暴に言うなら、
音楽自体に人を癒す力はありません。
音楽は薬ではないのだから。

ただ、ここが大事なのですが、直接的にであったり
また間接的にであったりするのですが、
音楽が人の回復力の元となるきっかけを
稀に作ることがあるという事。

僕はもちろん、学者とか
そういうたいそうな者ではないので、
その論拠となるものを一切提示しかねますが、
それでも長年音楽をやってきて経験的に、
どうも
誰かが困窮し、それを別の誰かが助けるという
関係構造の中で、
まま音楽というものが
その「助ける力」のどこかしらで
それを増強する機能を果たしているのではないかと
感じられる場面というものに出会うのです。

まただからと言って、
音楽に人を救ったり癒したりする力があると
安直にうぬぼれてしまうと、
その効力を発揮しない事も知っています。

何度も言いますが、
それでも音楽に人を救う力はありません。

音楽でおなかが膨れる事など無いし、
まして止まった心臓を蘇生させる事など
ありえない。

ここは音楽を作る人間にとって
肝に銘じておかなくてはいけません。
音楽家は政治家でも弁護士でも、
医者でもカウンセラーでもないのです。
音楽家は音楽を奏でる人という枠は超えられません。

しかし、純粋かつ真摯に
音楽に向き合って音楽を作ろうとする人には
ある特定の音楽というものが
どことは言えないような高い次元の彼方から
託される事があります。

その特定の音楽というものも、
また同様に人を救えません。

しかし、誰かを救おうとする人の
励みと勇気、忍耐と信念を鼓舞する
力となったりするのだろうと感じます。

音楽というのは人を救う力ではないのです。
人を救おうとする人の力となる時、
人助けに音楽が役に立つ時なのだと思うのです。

音楽は薬ではありません。
しかし、実質的存在足り得る
癒しの作用を惹起する
薬の原材料にはなるのでしょう。


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